キャットアンドガール 2 ほんの今さっき、高貴な毛艶をしたふくろうが、誇らしげに得意そうに大きな籠を持って飛んでいった。 飛んでいったその先は、ドラコマルフォイ。 彼はそれを満足そうに微笑して受け取り、ふくろうに小さなキスを贈った。 そしてふくろうは満足そうに鳴き、優雅に紅茶を飲んでいた彼の手からスコーンを与えられると嬉しそうに頬ずりし、そして高らかに飛び立っていった。 正直見惚れるような優雅さだった。 恐ろしく上品で高貴な家柄の者たちは、みながみなあのようなふくろうとのやり取りをしているのだろうか。 私は純血といえど彼ほどに金持ちでもないし、ましてや大した家柄でもないのであれが正当なものなのかはわからない。 (だってそう、私の家のふくろうはキスなんて強請らないし、ましてや私たちの手からなにかを受け取るまでもなく自分から報酬を奪っていく) 多分、おそらく、きっと。 あれは彼の家柄と高貴さから成るもの。 「やあ、」 朗らかな(似合わない!!)笑顔でドラコはへと近づいてくる。 その手にはあのふくろうが彼の元へと丁寧に運んだ籠を持って。 「……ごきげんよう、マルフォイ」 なんとなく、さっき見たワンシーンにあてられて、もちょっと気取って上品な口ぶりでドラコに対して口を聞いてみた……気持ち悪い。 これはなんか自分が自分でないみたいだ、変だ。 「やっと君を喜ばせることができる」 ドラコはの心情なんて気にしないで、むしろ気付かないで彼女の目の前に籠を突き出す。 丹精で精巧なデザインのされた、素晴らしい輝きを持つ銀の籠。 そしてその籠の中にはブルーバイカラーのラグドールがいた。 ふくろうに連れられた旅のせいか、少し疲れたような感じがする。 ラグドールは蒼いサファイヤのような目での目をじっと捉えた。 「わぁー、かわいい!!」 すぐにも感嘆の声をあげたに、ドラコは満足そうに微笑み、籠の中からラグドールを出してやった。 そして、そっと彼女に抱かせてあげて。 ふわふわの絹のようなさわり心地の体毛を持つラグドールを胸に抱き、少し重たそうだがはとても嬉しそうにドラコに笑いかけた。 本心からの笑みだ。 だって彼女はとても幸せそうなのだから。 「名前をつけてやれよ」 「名前?私がつけていいの?」 あたりまえだ、とドラコは言う。 そのすらりとした腕はの手の中のラグドールへ伸びてゆき、上品に優しく頭を撫でた。 「こいつはお前の為に用意したお前だけの猫なんだから」 ドラコの目はまっすぐにを捉える、離さない。 いつもとはどこか違う雰囲気のドラコに気圧されて、は少しどきまぎして唇をはにかんで視線を上や下に泳がせた。 おかしい、まるでこれでは自分がどきどきしているみたいではないか(いや、実際どきまぎしてしまっているのだけれど)。 「じゃあ……ノア」 「旧約聖書の人物か、神に与えられた箱舟で人類を救ったという」 特に意味はないよと言ったら、ドラコはあきれたように苦笑して(でもちっとも嫌な笑いじゃない)、「お前にしてはまだマシな方だな」と言っての頬に手を当てた。 「な、なに」 言葉のみなまでを言い切る前に、素早くドラコはの頬に唇を落とした。 目をひん剥いて穴が開くかもしれないと杞憂するほどにドラコを見つめ、はだんだんと首を傾げていった。 「なんだ…不躾だな。こういうときは微笑んでキスを返すものだろう?」 「え、えー?」 はますます頭を混乱させる。 それはドラコマルフォイの定義?それとも恐ろしく金持ちで高貴な生まれである者の定義? や、てゆーかそれはふつう家族だけじゃないの? 疑問詞がふつふつとの頭に現われて、消えてゆかない。 目の前のドラコは不服そうな顔でこちらを見ている。 ……まさかとは思うけど、しろとか思ってんじゃ…… 「あ、ありがとう?」 「…………どういたしまして」 のありがとうに、それでもドラコは不服そうな顔を変えることなく言葉を返す。 義務的な感じだ…いや、実際そうなのだろう。 だけどすぐ気付いたように……いや、なにかを思いついたようにドラコはにやりと笑うと、「すまない、ノアを抱いていてはからは難しかったな」とわけのわからないことを言い、またゆっくりと近づいた。 細やかで美しい猫っ毛が、さらりとの額を掠める。 端整な顔は近づきすぎるほどに近づいてそしてやわらかな感触をの唇にもたらした。 ………ドラコの唇でもって。 えぇえええ!? 「またなにかあったら、僕に言えばいい」 ドラコはとても満足そうに笑い(本当に、ものすごく)、談話室の彼の定位置へと戻って行った。 その両手に抱えられたラグドールはおとなしくぬいぐるみのようだ。 ふわふわの毛心地はの心に大きな満足感を与えた、きっと。 だけれどはまだどこか腑に落ちきれない表情でそこにいる。 いや…てゆうかみんなからの視線が痛いんですけど……。 やー、そうでなくて…なに?なんなの? 金持ちは金持ちゆえにフレンチキスも大安売りするの?やー、まさかー…… わけわかんないや。 だからは猫にひっかかれたと思ってさっきの出来事をキレイに脳内から排出することにした。 -------------------------------------------------------------------- 続いてしまった。そしてまた続くのでしょう。 ドラコ大スキダー!愛(ハァト ホント、大好き、ドラコ大好き。 ハリーなんか目じゃないくらい好き。ヘタレてても好き。 彼はスリザリンの王子ですよ、ええ。 彼をダンパのパートナーにしてしまったパンジーが憎くて仕方ないです、本当(笑 2004/7/20 |