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「き、君たちはなにをやっているんだっ!!」 まるでパーシーそっくりの声が素っ頓狂にグリフィンドールに響いた。 きみはぼくに恋をする 耳元をつんざくような声にライラは飛び起きる。 顔を真っ赤にさせたロンが怒ったような呆れたような、はたまた困ったような顔をしてライラを見ている。 「おはよー、ロン」 にへら、と笑うとロンはあー、だかうー、だかよくわからない曖昧な返事をしてさんざん唸っている。次に出す言葉をどうしようか考えているようだ。 ライラは寝ぼけ眼でロンを見る。どうしてロンがここにいるのだろう…男の子って女子寮に入れなかったんじゃなかったっけ? 「どうしたのロン、向こうまで声が聞こ――――」 ロンの肩の向こうからハーマイオニーが顔を出した。 あんまり見たくない組み合わせだ、と思ったけれど、彼らは監督生で親友で恋人なのだ。この組み合わせが見れない場面などそうそうない。 ちらり、とこちらに目をやったハーマイオニーは言葉を失って、眉と目を潜めてライラを見た。 「これはどういうことだか説明してもらえる?」 冷ややかな言葉に返答しだいではしかるべき対処をするわよ―――とことのほかに言い含めて言った。 「なにが?」 「なにが!?貴方自分の置かれてる状況がわからないの?」 ハーマイオニーの指がこちらをさして咎めるような視線を向けた。と思った反面気がついたように眉を寄せ、「まさか貴方ハリーにむりや」「わーーー!!!!!!」 ロンが大声あげてハーマイオニーの言葉を遮った。 少しだけ不穏な雰囲気がロンとハーマイオニーの間を行き交って、それからロンがハーマイオニーに耳打ちをし始めた。 はじめは不服そうな顔でロンの言葉に耳を傾けていたハーマイオニーだが、次第にその表情は真剣になっていき、しまいにはおろおろと心配したような視線をライラに見始めた。 「ライラ、こっちへきて」 あんまり優しくハーマイオニーが呼びかけるものだから、妙に疑りながらもライラはその言葉にしたがった。 ハーマイオニーの元へ行くと彼女はライラの顔やら髪やらほっぺたやらをぺたぺたと撫で回して「どこも痛いところはない?悲しくは?つらかったら言って頂戴」と言って抱きしめてくれた。 ふんわりと女の子のやわらかい香りがして、ハーマイオニーのふわふわの髪がくすぐったくってライラはふふふ、と笑ってそれから「だいじょうぶだょ、どうしたの?」とハーマイオニーの顔を見た。 ハーマイオニーは今にも泣きそうに破顔している。 「ハリー!!!」 それに反してもう完全に怒っているんだからな!!という感情を爆発させて叫んでいるのはロンだった。 ねむりこけているハリーを蹴飛ばして起こして今にも殴りかかりそうな勢いだった。 「君がライラを好きだってことは知ってたけど、こんなことをするとはおもっていなかった!!」 「った!!な…、な!?」 起き抜けに蹴飛ばされて怒られて、ハリーは何が起きているのかわからないようだった。 ライラだっていまいちなにが起きているかわかっちゃいない。 「酒を飲ませて女の子とその―――、一夜を、共に、するなんて!!最低じゃないか!!!」 「は、はぁ!?な、なに言ってんの!!」 今度素っ頓狂な声をあげたのは、ロンの後ろでハーマイオニーに保護されていたライラだった。 「私ハリーとなんて寝てないわ!!」 「じゃあライラが眠りこけた後及んだわけか、最低だなハリー!!」 どうやらライラとハリーがほにゃららと言うのはもうすでにロンの中で定義付けられてしまったらしい。 あな恐ろしや、思い込みの強さって言ったらもうすでに4年生のときに証明済みなのだからしょうがない。 ハリーは目をぱちくりさせてロンとハーマイオニーを交互に見ている。 ハーマイオニーに助けを求めているのかもしれないけれど、今や彼女だってちょっと頭に血がのぼっているようだからどうしようもならない。 「ちょっと君、頭を冷やしなよ――――」 冷静に話をつようと言いたかったハリーの言葉は、どうやらロンには嫌味に聞こえたらしい。 「ハリー!!」 まるで髪の毛と同じくらい顔を真っ赤にさせて怒ろうとしているロンに、これはヤバイと思ったライラが慌ててロンとハリーの間に割って入った。 「あ、あのね違うの!!」 「でも君は寝てないって言ったじゃないか!!」 「あー、あの、あのねぇ!!!」 ライラはあたふたと首を振りながらどうしようかと思った。 多分、ロンはこの部屋の惨状を見て驚いたんだ―――いるはずのない私がここで眠りこけてて、しかもハリーが隣にいたからきっと勘違いしたんだ―――きっとそう、そうよね。 「わ、私ハリーに相談してたの!!」 「ハリーに?」 ライラの言葉に返事をしたのはハーマイオニーだった。 彼女はロンの横へやってきてライラの話を聞くためののあいずちをうった。 「そう…その―――好きな人に恋人ができて―――私、お酒を飲みながらハリーに絡んでたから…」 もじもじと言い難そうにライラは言葉をつづった。 「そして僕がライラに告白したんだよ、いいかげん気付いてって」 ハリーがライラを助けるように言葉をつけたした。どうやらハリーもやっと状況を飲み込めたらしい。 「うん、そう。それで私なんだかうれしくって、悲しかったのもふきとんじゃって、なんだか安心してねちゃったけど…ロンが思ってるようなことはなかったわ」 もしあったとしたら、きっと同意の上よ―――とつぶやけば、ロンもハーマイオニーもぽかんと大きな口を開いて顔を見合わせていた。 しばらくして復活したふたりがそういうことだったら…とか早とちりしてごめん…などと口々につぶやき、「そういうことだったら友達としてはなにもいえないわよ」とか「よかったなハリー」とかさんざん言われたけれど、転んだらただじゃ起きないハーマイオニーがいるのだ。 「それはそうとしても私は今回のことでグリフィンドールから10点の減点を言い渡します」 なんで!!と叫びたくなる3人だったけれど、彼女が言うには「友達としてはなにも言えないけど、監督生としては未成年の飲酒は許せませんから」ということらしい。 なんてハーマイオニーらしいんだ!! 罰則として部屋の掃除を言い渡されたハリーとライラはため息がてらの会話をする。 「大半は嘘だったのに…」 「ライラがお酒を飲んでいたのは本当じゃないか」 「ハリーはどうして私の隣で寝ていたの?」 「…………………」 「…………………」 お互い痛いところはあるらしい。 ライラはロンが困ればいいと思って腹いせのようにここでお酒を飲みちらしたし、ハリーは眠りこけるライラをいいことにキスをしたあげくとなりで眠ってしまった。 「まあ今回のことでふたりには誤解されちゃったねえ」 「僕はそれでも全然かまわないんだけどね」 「えー、困んないの?」 「僕はライラのことが好きだし、好きになってって前から言ってるからね」 かあ、とライラの頬が染まった。 昔言ったことを思い出してしまった、あああれは冗談じゃなかったのかとか、慰めるために言ったことかと思っていた。と言い分けるのは多分ライラがまだ少しだけ傷つくことを怖がっているからだろう。 好きだったロンとハーマイオニーが付き合いだした傷はまだほんの少しのだけ癒えてないなんだろう。 ちょっとだけライラの表情が曇ってしまったので、ハリーはライラにはわからないように小さなため息をついた。 僕を好きになってよ、そうしたらライラにこんな顔させないのに 「ライラ」 君にキスを、 魔法のキスを、 恋する魔法をキスにかけて、 そして、きみはぼくにこいをする。 --------------------------------------------------- きみはぼくをすきになるとちっとも変わらない終わりだなぁ…形式は変わらずとも、ヒロインの気持ちは違うからねー(いいかげん 殴) 好きか恋かの違いっていうか、恋愛っていうか ネ(ハァト ひじょうにシリーズ化しやすいタイトルだと思う。うん、思っただけです。 2004/10/28 アラナミ |