貴方との繋がりは、まるで麻薬物質のようだよ。

気持ちよすぎてなにも見えない。






      モルヒネ






例えば手を重ねたときとか、

触れ合うように唇を重ねたときとか、

貪るように身体を重ねたときとか、


痺れるように、白く濁った霧が、私の意識を支配するの。

貴方と触れ合うたびに供給されるソレは、私を狂おしく変えていく。

私が貴方なしでは笑えないように、
喋れないように、
息も出来ないように、


どんどん私をおかしくさせる。







ねぇ……
ねぇもっと、もっと頂戴。

鼻腔をくすぐる、甘い香り。
混ざるありとあらゆる体液に、いやらしい音が耳に届く。
視界は真っ白なにも見えない。
触れ合う感覚だけが、身体中で感じ取る快感だけが、異様にハッキリしている。




もっと
もっと
もっと
もっと


溢れて壊れるくらい、頂戴。















「私は少し出かける」

そう言って、ルシウスがこの部屋から出て行った途端、私の胸が苦しくなる。


貴方がいない。
貴方が足りない。


苦しむ胸をキツク胸を押さえ、私はベッドのシーツにくるまった。
1人になっても考えるのは、ルシウスのこと。
ネガティブな思いで、私はルシウスのことを考えるの。


少し出かけると言ったルシウス。
どこへ行くかなんて言ってないけど、わかる。
ルシウスは家に帰ったのよ。
あの人自身が妻にと決めた女の居る家に。


心臓と頭がツキンツキンと痛み出す。
わかってる。
はじめから何もかもを承知して、この関係を望んだことも。

妻が居る。
子供が居る。
家族が在る。
それでも、この関係を望んだのだから。


誰の元に帰ってもいい。
家族だってあっても構わない。
私を愛してくれる瞬間があるなら、それでいい。


それでも、ルシウスが私以外の女を抱いているのに嫉妬する。
あの女は妻なのに、私の方こそ愛人なのに、嫉妬してどうしようもない。


「ッ……ハ、ァアッ……」


息が苦しくなる。
私の心臓と頭を襲っていた鈍痛が、鋭く突き刺さるような痛みに変わる。


「ッ……ィタ………」


手足が震えて、体中が弛緩するような感覚だ。
それはなにも言えぬほどにひどく、激しく私の神経を攻撃する。



ルシウス……
ねぇ、ルシウス。
私貴方がいないと死んじゃう……



痺れる身体に目を閉じて、私は意識を手放した。


















ぼんやりと視界がひらける。
私を襲っていた激痛は、ピタリと止んでいる。
目線を泳がせれば、視界の端に、ルシウスを見つけた。


「ルシウス……」


私がその名を呼べば、目の前の貴方が、満足そうに笑った。


「私がいないと生きていけないのか?……」


するりとその手で頬を撫でられて、全身に鳥肌が立つ。
心地良すぎて鳥肌が立つくらいなの。
恍惚とルシウスを見つめる私に、貴方は嘲笑と、優越感に浸ったような顔をする。
そんな顔をする貴方さえ愛しい。






私は貴方を強請った。


「ちょうだい」


私の影に重なる貴方の影。


唇から痺れてく。
   熱くねっとりとした、ディープキス。


私の中に流れ込む。
   唾液と一緒に流れ込んで。


貴方という麻薬物質。
   止まらない、止められない、私を侵す。




止まらない…止まらない…私は中毒者。
永遠に貴方から離れることなどできない、貴方の玩具。


――――……貴方の麻薬物質になれたらよかったのに………

























部屋中に撒き散らした愛の妙薬(ラヴポーション)

机に、床に、ベッドに、に、私に、染みこんだ。

身体中すべての神経を狂わせて、心を捉える。

欲しくて、欲しくて、欲しくて

やっと手に入れた。

ここは世界で1番キレイな小鳥を捕らえておく鳥篭だったのに。

は私の玩具だった筈なのに……




自分の身に染みこんだ、愛の妙薬(ラヴポーション)

の身に染みこんだ愛の妙薬(ラヴポーション)

罠に嵌めたつもりが、お前の香りに嵌められて、吐き出て止まらない。

がいないと、生きられない。









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第1回アンケ企画夢、ルシウス・マルフォイ様。
椎名林檎のモルヒネよりの、タイトルでございます。
ダメだ……!!頑張ったのですが、ルシウス様腹黒いからどうにもこうにもこんなのにしかならねぇっす!!
いいですか?こんなのでいいのですか?

所で本当にルシウスドリームって少ないんですね。
参考サイト様ないかな〜と思って探しましたが、ほっとんどないですもの。ちょっぴり寂しいです。

2002/11/20     アラナミ