ギルデロイロックハートのお悩み相談室☆君の悩みもこれで解決!!
つんつん跳ねっ毛黒髪英雄メガネ君の悩み








「僕、ハリーポッターじゃない別の誰かになりたい」
そう言って現われたのは額に雷の傷を持った有名なハリーポッター君だった。
誰に了承を得るでもなく彼はさっさと上がりこみ、ギルデロイのために用意した紅茶をすすり始めた。
ギルデロイはそんなことおかまいなしに自分のぶんにと注いだ紅茶を手にしたので、必然的に私のぶんがなくなってしまった。くそう、新しくカップをださなくちゃなんないじゃないか!!これだから近ごろの子供はつけあがるのよ!!とは思っては言えないちゃんなのでありました。
ああ、スネイプ先生の恐ろしさがほんの1ミリでもあったらなあ……。

「で、ハリー君よ。なぜそんなことを思うのよ」
思いもよらずにいろいろと不躾なものだったのでついついつっけんどんには応対した。っていうか当たり前だろ!!
「みんな僕がゴブレットに名前を入れたと思ってる―――ロンでさえも」

彼は不機嫌そうな顔でつらつらとここ最近起きたことや思っていたことを打ち明けてくれた。
涙ぐみそうに思いつめて話すハリー君にはじめは真剣に聞いていた私だけれど、あまりに長すぎる話……だってそれは遡って彼がホグワーツへ来る前の話も持ち出されてしまった!!……に最後のほうはほとんど聞き流してしまったかもしれない。
嘘、嘘である。聞き流していた、これが本当です。
でも話の中にシリウスがどーのと…そういえば昔旧家の付き合いでそこそこ仲の良かった人物にシリウスブラックという人間がいたなあ。
名付け親なのか…どおりでそこはかとなく直情っていうかしつこいっていうか恨みに対して陰湿っていうか…いやいや、決して悪く言ってるわけじゃあないのよ、これ本当。
いやー、名づけ親でも似るもんなのねーって、まあその性質についてはなにも言えないけどね。
なんたって変わり者同士で仲が良かったんだ、私たちは。ウフフ、懐かしいなあ。

それにしてもギルデロイは変わらずにこにこと、それでいてときおり相槌を打ちながら話を聞いていたので、それだけは本当に尊敬できると思えた。
というかここまでつらつらと語るということは、彼は相談に来たのではなく愚痴を誰かに聞いて欲しかったのだと伺えたのでさも真剣に聞いているかのように聞き流すことを選択したわけであるのだ、私としては。
ヘタに口を出せばそれは倍になって返ってきそうだから言わないほうが花、なまじ修道院にいたわけじゃないのよオホホ!!





「と、いうわけなんだ」
たっぷりと聞かされた話が終わる頃にはもう紅茶も冷たくなっていた。
もう一度入れなおして注いでやれば、ハリー君はそれをすぐにのみほしおかわりを求めた。
よっぽど喉が渇いたんだろう、いやいや話しすぎだってば。
「大変だねえ」
私は無難でそれらしい言葉を選ばなくてはならない。
なぜなら彼はハリーポッターであるからして有望な人物であるからだ(玉の輿!!)。

「君は君だと思うし、ゴブレットに名前を入れてないにしろ君は選手になってしまったんだ。そうなった以上は課題をこなしてそんなこと二度と言わせないくらい頑張ればいいよ」
ギルデロイの言葉にハリー君はちょっと面を食らったようだがこっくりと頷いて同意した。
以前のギルデロイとは違うことに驚いているのだろうか…。
それとも素直にギルデロイの言葉に感動しているのだろうか…。

「私はハリー君はそのままでいいと思うよ。そうでなかったらこうして君はここに来てくれなかっただろうしね」
ハリー君と会えてよかった、私はハリー君の言うことを信じるよ。などと言えばハリー君はにっこりと笑っての手を取るのだ。
とても嬉しそうに。
「ありがとう先生!!!」
いいえ、こちらこそ。

満足した彼は来たときとはまるで違う雰囲気でもって帰っていった。
は将来有望な彼の目にしっかりと自分を焼き付けられたことに満足し、ふっふっふっと大いに深く頷いた。
の謀略はまだ始まったばかりなのである。

「さて、。今夜の夕食はなににしようか」
「そーですね、私はダンブルドア校長に食堂へと呼ばれているのでそっち行きますよ」
そして食事ついでに友好度をあげておかなくてはなるまい、今後のために――――……
「ギルデロイの分はしもべ妖精に言いつけておきましたからこちらに持ってきてくれるそうですよ」
「私はひとりでここで食べるのかい?」
ギルデロイの目が、寂しそうにに走る。けれどはそれを見て見ぬ振りして一喝した。
「そうです」

そう、の謀略は(以下略)。


遠い空の下では黒犬が泣く鳴くばかりだ。ケケケ






 

2004/11/14        アラナミ