男の沽券にかけて、不二周助(14)はの肩に手をかけた。
今日こそはもう、逃がさない(つもり)。






   カウンターパンチ、喰らってよろけて星が見えた日






深い深いフレンチキスをして、ぐいぐい後ろに逃げるの頭を捕まえることもなくそのままに身体を傾けていく。
傾いた体はこてんとフローリングに横たわるだろうから、気にしない。
床と僕、間に挟まれて身動き取れなくなったらもう逃がさないよって、教えてあげる。
そうしたら好きだよってたくさん言って、愛してるよってたくさん囁いて、優しく抱いてしまおう。
雪や絹のように白い肌ではないけれど、ちょっとだけ日に焼けた健康的な太陽の肌の色にたくさんキスを落とそうと思う。
キスのひとつひとつに最大限の愛を込めて花を咲かそうと思う。
そうしてそれからずっと触って(揉んで?)みたかったの胸を触りたいと思う。
そこは脂肪のカタマリだって前に姉さんがイライラと呻いていたことがあったけど、とても柔らかくて気持ちがいいだろうと思うから、やっぱり僕は触りたいと思う。
女の子の曲線的な身体の線も、たしかめるみたいにやっぱり身体中触りたい。
っていう人間を収めてる器を、しっかり見て触って見たいと思う。
そしてそれからしっかりと抱きしめて、もっと中の方も触ってみたいと思う。
友達の話とか本で得た知識とか、そんなものばっかしか知らないけど触って気持ちよくしてあげたいと思う。
初めてって痛いって言うから、なるべく痛くないようはじめのうちにどんどん気持ちよくさせてあげたいと思う。
手を繋いで、キスをして、触って、ひとつになって。
好きと愛してるを抱えきんないくらい囁いて抱きしめて、それから毎日を愛しい日々で送るんだ。
今までと全然変わらなくっても、ちよっとずつ変わっていくよう過ごそうと思うから楽しみで仕方がない。

なかなかいい未来だと思うんだけどな。

の身体が傾いてゆく。このままいくと床に横たわるようになる。


好きだ、好きだよ、好き。
勇気のないの舌は、絡めようとする僕の舌から逃げるみたく後退していく、びくびくしている。
あとちょっと、もうちょっと、少しだけ。


「んっ、」
おののいて、よろめいた。
の手がびくびくと動くけれど、しっかりとその前から握られた両手はそうすることを阻んでる。
どうしようもない、そ


ガッチン!


めぐる思考は突然の音と痛みに遮られた。
かなりな痛みにおののいて(歯が!!)、僕は思わず唇を離してしまう。
だけどなんでかの唇はそれを追ってきて、ふにっと柔らかに触れ合って自ら舌を絡めるまでに至った。どうして!!







長きに渡るフレンチキスもついに終わりを迎えた。
ねっとりと唇と唇が離されていった。
ちょっとだけ頬の染まったままのがえーと、と言葉を濁した。「おあずけ」……僕はなんともいえない気持ちでそれをみていた。
………動くことができなかった。







っていうか有り得ないの態度に意識が固まってしまっただけだよ、本当に。