カムカムハッピー!!
中学3年にもなればまわされて当たり前の進路希望調査書をまわされる。
シャーペンをくるくると回して口元へ持っていく。ふむ、どうしたものか。
斜め前を見れば、全国大会で優勝して世界に通用するタブルステニスプレイヤー!!とのたまうバカネコ一匹。
(進路希望調査書は進路の希望で将来の夢じゃないっつの!!)
前を見れば、じゃあ私は英二と世界へ行く!!とのたまう聡明だった筈の親友ひとり。
(進路希望調査書は以下同文)
「とりあえず青学高等部進学とでも書いておくか」
と進路希望欄にシャーペンをあてようとすればするりとそれは彼の人の手へ。
え?誰かって?
……そんなことわかってても聞くんじゃないわよ!!!
「不二!!!!」
返せ、と手を伸ばしてもひらりとかわされて届かない。ああ、届きそうなのに!!!
あっという間に華麗に欄内は埋め尽くされる、どうして!!取り戻そうとしたってかわされていくのに、キィ!!!
「はい」
あああ、結局なんか書かれたーーー!!
「いたずら書きとかやめてよね、消すのめんど…く、…………さい、し?ぃいいぃぃい〜〜〜〜〜!?」
ああ、力の入りすぎた指によって進路希望調査書に皺が刻まれる。
や、破り去りたい。ぐしゃぐしゃにしたい。捨ててしまいたい!!!
てゆうか誰かに見られる前に け、消さなくては!!!
「はなんて書いたの?」
「あ」
にしし、と悪気なく私の手のひらからそれを奪っていった菊丸を、今日この日ほど憎く思ったことは、ない。
「にゃはははははははは!!!か、かーわいいーーー!!!ねー、不二見てみなよ!!!」
「ん、なあに?」
なあにじゃないだろ、書いたの不二でしょ、私じゃないでしょ、不二でしょ!!!
「"不二のお嫁さん"だって!!!」
「フフフ」
ぎゃーーーーーーーーーーーーーー!!!
不敵に微笑むその笑顔に、私はまたうなだれた。
すべて手の内かっ……!!!
「それはっ、不二が書いたんでしょおーーーーー!!??」
この叫びは誰に伝わるのやら。
あっさりとそうだね、と肯定する不二はチラリと自分の調査書を見せ「そしてこれは君が書いた」と笑った。
嘘だ!!
"私のお婿さん(ハァト)"
「嘘だ嘘だ嘘だぁーーーーっ!!!」
「お願いだから真剣に書いてくださいよ……」
涙する教師に真剣だ!!と笑顔でのたまう不二に私はいつでも逃亡の衝動を覚えるのだ…。
いや、不二に対して私はいつでも逃亡の衝動を覚えるのだ。
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キーワード、進路希望調査。
メルフォから頂いたものから。いちゃぱらで、とついていたのでニヤニヤしながら書いてしまった。
WEB拍手御礼で3日くらいおいていました。
どうもありがとうございましたー
2004/10/29 アラナミ