At this place finale,






 水と緑の豊かな大地、川の流れが海へと流れ出す水面を眼前にした中州に立つ修道院は日の光を注がれ、美しき調べを響かせていた。
 恒例のミサも半ばに、穏やかなキリエが聖堂に荘厳と響く。陽に透けたステンドグラスが歌を奏でるひつじたちに重なり、後光にまばゆむ目はみな、同様に細められていた。
 目前に佇むのは心豊かな神のいとし子か、それすら通り越して十字架の向こうの神、を臨んでいるのかもしれない。

 明けぬ夜など決してないように、誰しも平等にいつか朝が訪れる。恐れる闇に憂いを抱き、霞むひかりを信じて祈りたまわうひつじたちは、今もどこかで祈っている。

 浅ましい願いの成就は、遂には神には祈れなかった。ただ茨の道を苦しんで歩くことか出来なかった。ひかりの道など歩けない、けれどひどく苦しいこの道は、矛と盾とをもって切り拓くことができたけれど。

 繋ぎとめたふたりの、それこそ神の愛されたいとし子。祈りは彼らに通じたか、この場所でオレは笑ってるよ。
 隣りで、ぎこちなくとも笑うようになった彼と、そんな彼を見てためらいがちに、でも嬉しそうに笑う彼を見ながら、この場所で。








2006/3/18 ナミコ