グッドモーニング、マイディア







「おはよう、エイト。起きろよ、今日は買出しに行くんだろ」
「…んー……」

 ベッドの上で寝返りのうつ身体、まだ半分意識は向こうに持ってかれてて、寝ぼけていた。ククールの言葉に背を向けて、またすやすやとした寝息と、ゆっくり上下する肩に小さな嘆息を。

「まあ、オレは別に今日でも明日でもいんだけどよ」

 身体に巻きつけているベッドクロスを静かに取り去れば、まだ寒い朝の気配に身を縮こまらせる滑らかな肢体が目にうつる。淫猥な昨日の痕をそこらじゅうに晒してさ、まあもしも誰かにこいつの肌を見られたときのために(そんなこと絶対させないけど)晒してやれってつもりでつけてやってるっていうかさ。

「エイトエイト、起きないと朝から襲っちまうぜ…?」

 なんて口先だけの冗談さ、そんなことしたらいつ入ってくるかも分からない仲間達が真っ最中にご対面だなんて、少なくともお前にとっては赤面して真っ青になってリトマス試験紙のような事態になっちまうだろ。お前にとって不本意なことはしねぇよ、口だけだ。
 でも、ま。キスくらいいいだろ、起きねぇんだから。

「…………」

 唇ふさいで熱烈な愛のフレンチキスを施して、ぴったりと合わさった唇からは二酸化炭素だけ目いっぱい肺に押し込んで、呼吸が乱れていくだろ?さあ、目を覚まして王子サマ。

「…ん、ア?」
「おはよう、エイト。起きろってば、買出し行くんだろ」

 もう一度初めに戻って、今度はちゃんと目ぇ覚ますよな?じゃなかったら本当に襲っちまう か も よ ?

「あー、…あー、そうだったぁ」
 焦点のさだまんねぇ目でどこ見てんだか、「ホラとっとと着替えちまいな」あいつらもそろそろ下におりていく。もぞもぞ鈍い動きで着衣するエイトを横目で見ながらお湯で湿らせたタオルを絞って持っていく。
「エイト」
「わっ!!!」
 寝ぼけ眼のだらしない顔を拭けば、すっとした冷ややかさに目が覚めるだろ?用済みのタオルは後ろの椅子に放り投げて、意識の確立したエイトにもう一度「おはよう」と。
「…おはよう」
 ああ、かーわいいなあ。昨日のこと思いだしちまったの?軽く額にくちづけて、オレはエイトの髪に手を伸ばす。

 朝一番にオレがエイトにしてやること。ぼさぼさの髪を整えて、バンダナをつけてやること。それと小さなくちづけを。








九月八日計画自作お題"バンダナ"

2005/9/8  ナミコ