暗闇で営み






 世界から光が奪い取られた。
 なんてーのは大袈裟だけど、そんくらい町に日は灯っていなかった。小さな町だ、今日届くはずのランプの油が遅れるんだってさ。でも、どこの民家もほんの2、3時間もつほどの予備の油は持ってたみたいだし、どーしよーもねぇ家は教会に世話になってるみたいだけどさ。

「とんだ災難だよなあ」
「うーん、まあ……」

 もちものの補給だけしたくて立ち寄ったのに、日も高いうちから悪いけどもう店じまいなんだと店主に肩を竦められ、他の町にルーラで行こうと思えばそういえばMP空っぽだったんだっけと思い出す。まあ疲れてるしすぐに眠ったら朝だしまあいいかって宿を取ったのに。取らなきゃよかった。取っても、みんな別々の個室にしてもらえばよかった。

 いつも眠る時間よりどんなに早くたって、ランプの灯らない室内じゃあ眠るしかすることがないし。

「まあせっかく暗いんだからさ、な」

 耳元でしっとり艶めいた声で欲情を煽る声。眠くないんだと初めは小さな談笑をしていたって言うのに。雲に陰った月明かりの一瞬のうちに近づかれて恋人に押し倒されれば、もう、嫌がる理由もない。
 暗がりはいつものお遊びのような戯れを簡単にはさせない。視覚で楽しむことはできないから、ほのかな月明かりを手探りに服を落とす。

「あ、」

 わざとやってるのかどうなのか、暗がりに探れない表情は取りとめがなくて不安だ。適所適所掠れる指先にその先を求めたい身体は素直に反応を示していく。気付いているだろうか、それともわからないだろうか。羞恥心が身体中に巡って弛緩させる。
 衣擦れの音、ククールが、服を脱ぎ捨てる音がもどかしい。

「ねえ、早く…」
 見えないということはとても時間を遅く感じるみたいで、いつもより焦って自分がいることもちゃんと気が付いていた。だってほら、今、君笑っただろう。
「どんな顔して言ってんの?見たかったんですけど」
 今度見せてね、と耳たぶを食む。ぞくり、と背筋に疼きが這い上がってエイトはククールに抱きついて声を上げる。おかしい、いつもだったらこんなふうに乱れたりなんてしないって、思うのに。

「お前、なんかいつもよりエロくねぇ?
 嬉しいけどさ、とククールはエイトの耳元をちゅうと吸い、早速股の間をまさぐった。たちあがりかけてるそれを、まずはたしなみ程度にゆっくり上下させて、握りこむ。後から零れる先走りは潤滑油の代わりとなってすべりをよくする。

 よし、決めた。時間はあるし、とろっとろに溶けるまで睦みあってよう。

「ホラ、もうイッちまえよ、エイト」
 先は長いんだからさと、ククールは1番感じるところだけすりあげてやった。








九月八日計画リクエストお題"エロ"
どうもありがとうございました!!

2005/9/8  ナミコ