逢いたくて

逢いたくて

愛したくて


それでも叶わぬ望みになってしまうのは

お前と僕の生きる道が違う所為なんだ。



同じ道を歩けたら良かったのに……







   Way OF Diference







初めてお前と出会ったのは、何時だったけか。
薄くぼんやりと月明かりが差し込む暗い部屋で、隣に眠るを見る。
静かに寝息をたて、穏やかに眠っていた。







「グリフィンドールの"穢れた血"どもが」


莫迦にするように嘲笑して、2人を一瞥する。
ハーマイオニー・グレンジャーと、
マグル出身の、グリフィンドールの魔女たち。
勝気に僕を睨みつけているけど、お前たちはスリザリン生に囲まれているんだ。
どうにもなるわけない。
お前たちが頼りにしているポッターやウィーズリーは、先ほどスネイプ先生に連れて行かれたのだからな。


「お前たちがホグワーツにいると、僕たち名家の名も穢れてしまう」

「そうよ、マグルがまともに魔法使いになれると思ってるの?」
高らかに笑って、パンジーが2人につめよる。

「………少なくともここにいる誰にも、私は劣ってないわ」
グレンジャーが低い声で笑う。
僕が笑ったように、嘲笑でもって言葉を返す。
グレンジャーの後ろにいるはなにも言わない。


「は?」
「"純血"のわりには誰1人として私より知識のある人がいないって言ってるのよ!!」
「なっ……!!」
パンジーの顔が真っ赤に染まる。
それに僕は苦笑する。
確かに、グレンジャーの知識の深さは、この学園の生徒中では誰より優れているだろう。


「今は、な。いずれその"穢れた血"のみでは伸び悩むだろうよ
"純血"であることは、高潔な証。
"純血"であることは、誉れな名誉。
穢らわしいマグルなど、真の意味で魔を解することなどできない」

僕の嘲笑に合わせるように、周りからも笑いが重なる。
相変わらずグレンジャーは、僕をキツク睨みつけたままでいる。


「キーキー噛み付く"穢れた血"の後ろにいるお前は、随分と大人しいな」
視線をグレンジャーの後ろで隠れているに向ける。
は僕を睨みつけるでもなんでもなく、ただ見つめ返した。
「僕の言ったことが理解できたのか?だとしたら、"穢れた血"でも、それなりに頭はいいということか。
……来いよ」

は一瞬逡巡して、それから僕の方へと歩み寄ってきた。
「ちょっと、!」
グレンジャーの声も無視して、僕の目の前にやってくる。
征服欲とか、支配欲が満たされる感じがした。
でも、それはすぐに驚きと苛立ちに変わる。
何故なら、簿の目の前にいるはこう言ったのだ。




「ねぇ、"純血"と"穢れた血"いったい何が違うというの?」




なんでもないことのように、サラリと、いとも簡単に言葉にする。
その言葉にカッと血が上るように苛立って、そしてすぐにの顔が近づく。
唇に唇を押し当てられ、の舌が僕の口の中に侵入した。


「!!」


それが気に入らなくて、僕の口の中から出てけと言うように、の舌を噛んだ。
鉄の味が口中に甘く広がる。
「っ…!」
小さなうめき声に、の舌は引っ込む前に僕の唇を噛んで離れていった。
「ッつ!」
今度は僕の血の味が口の中に広がる。


「"純血"だろうが、"穢れた血"だろうが、同じ味よ。一体なにが違うというの?」


唇についた血を舐めとって、が笑う。
嘲笑でも、乾笑でもない、ただの微笑みで。


「お前、おもしろい奴だな」
「お前じゃない、よ」
眉根を吊り上げてるわけでもなんでもない。
ただ、見つめているだけなのに、ひどく……


、か。お前僕のものになれよ」


「イヤ」


……ひどく強気な瞳をしていた。

これが僕らのはじまりだ。






新しい玩具を見つけた感覚。
あれは自分を楽しませるものだと直感した。
だけども、いつか想いが変わっていることに気付いた。
母親にも、父親にも、感じたことなどなかった感情。
また、与えてもらっていたかもしれないが、それが重くて不愉快だと感じていたもの。


……愛情……?


だけど僕はこの想いにそんな名称は与えたくなかった。
むしろ欲望。
愛おしむ感情じゃない。
蹂躙し、支配したいと思う欲望。
そういうことにしておくのだ。









甘く囁いて、笑う。
このときの僕はひどく笑うのが苦手だった。
それが作り笑いでも。
心が伴わないからだろうか、どんな笑いも嘲笑に見えるのだと、お前に言われた。

、愛している。いや…愛してしまったんだ」
もっともらしい言葉を吐いて、お前を僕のものにしたいと思う。

「……私も愛しているよ」
キレイな微笑みで、が言った。















組み強いて、蹂躙して、支配して、思ったことはたったひとつ。
はきっと何もかもわかっている。
僕がお前を愛しているにも関わらず、それを認めないこと。
蹂躙して、玩具のように扱っても、触れる手は完全に冷酷になりきれないこと。
愛を吐いている嘘の言葉が、本当は真実なのだということ。


の笑顔に見透かされて、僕は嘲笑以外の笑いを得た。


「ねぇ、ドラコずっと一緒にいたいね」
僕のその笑いを見て、なにを言うでもなくはそう言った。
「……そうだな」
僕も言葉を重ねる。
ずっと一緒にいられたら、きっと幸せなのだろう。
この触れ合いが、永遠に感じられるくらいに。

















フッ…と笑みが零れる。
学生時代さんざん、あのポッターたちに嫌味ったらしいと言われた笑みではない微笑みが。
心からの微笑みが零れる。
だってしょうがない、が隣にいるのだから。
眠っていても、起きていても、どんなときでも、が隣にいると、笑える。
嘲笑のような笑いしか出来なかった僕が、に微笑みを教わった。
と逢い、初めて僕は愛というものを知ったのだと思うようになった。
あれから僕は偽ることなく、と一緒に時を重ねた。


もう……なにも知らない子供じゃない。
僕たちは大人になっていった。








学生時代の思い出を、2人思い返して話せば、愛しいくらいに大切な思い出なのだと、心から実感する。
僕の学生時代の思い出は、なくしては語れないくらいに。
これからもずっと、一緒にいたい。
ずっと一緒に思い出を作っていきたい。
それは叶わぬ望みなんだ。



子供ながらに"名前を言っちゃいけないあの人"……あの方の存在の偉大さを覚えこまされた。
僕はこの血を誇りに思う。
"純血"を誇りに思う、今もそれは変わらない。
ただ"穢れた血"が、本当は穢れてなどいないことに気付いただけだ。
むしろあれこそ"純血"。
"血"にこだわってマグルを追いやる"純血"ほど"穢れた血"なのだ。
それでも誇りを捨てきれないのは、この肩に重くのしかかるものがあるからだ。


僕はあの方の腹心だ。
その事実は決して消されない。


はあの方が忌み嫌うマグル出の魔女だ。
この事実も決して消されない。




2人逃げることができたなら、

なにもかもを捨てることができたなら、

2人だけしかいらないなら、



多分、ずっと一緒にいられた。



僕は捨てられないものがある。
も捨てられないものがある。



大切なものはお互いだけど、"誇り"がそれを望まなかった。

僕も、も、"誇り"は高く、侵されることをひどく嫌う。

譲れないんだ、これだけは。








「ん……んー…?」
隣で穏やかに眠っていたが、身じろいで起き上がる。
「起きてしまったのか?」
「ん……」
目を擦りながら、は僕に身を寄せる。


、愛してる」
「私も、ドラコを愛してる」
目を閉じたに唇を落とし、抱きしめた。




もうすぐ別れがやってくる。
逢いたくても、逢えない日々が訪れるのだ。
長い夜にを探し、狂いそうになるかもしれない。


がいなければ、生きてはいけない。
それでも、別れはやってくるのだから……強くならなければ。
を、忘れなければ。







もうすぐここにも、雪が降り積もる。
世界を真っ白に染めていく。

それまで、もう少しだけ……






















逢いたくて

逢いたくて

愛したくて



それでも叶わぬ望みになってしまうのは

お前と僕の生きる道が違う所為なんだ。




同じ道を歩けたら良かったのに……



行き先は違う事

僕たちは最初めから知っていたのだけれど。











Fin
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なにを隠さなくても、GlayのWay of Diffrence。
好きです。
というか、書いてて思ったんですけど、うまいですよね、さすがプロ。
ああ、私の夢小説のことじゃなくて、GlayのWay of Diffrenceの歌詞のことですよ?(当たり前だ)
特に「もうすぐ此処にも雪が降り積もり世界を白く染めるまでもう少しだけ…」この部分。
うまいなぁと、心底尊敬いたしました。
前文の歌詞とリンクしてて、(強くなるために忘れなければ…みたいなの)冬がくるまでとも取れるけど、貴方といた思い出とか、自分の心にある貴方のこととか、それが真っ白になって忘れられるまで、もう少しだけ、という意味にも取れますよね。
雪が降り積もっていくのって、すべてを真っ白に帰すってことで、よく情景描写にも用いられてますし。
大好きです。

これは第1回アンケート企画ドリームで、ドラコたまが1票取ってらっしゃいましたので。
っていうか、全員分書く次第ですよ?

愛し合っていても別の道を行かざるを得ない…みたいな話がすごく書きたかったんです。
ドラコでかこう、と随分前から決めていましたが…これを機に(なんのこっちゃ)
ドラコ…っていうか、マルフォイ家ってヴォルデモート側じゃないですか。
んで、マグルと恋に落ちて欲しいな〜ってか、本編でも(半分)マグルにも関わらずハリーに忠告してるドラコ見てたらああん!!ドラコ可愛い!!(なにUu)
ってなもんで、妄想炸裂。
友達になりたいのに、あんな風にしか接することの出来ないドラコの不器用さに乾杯★つーか、完敗。
今回はそんなかんじ、でも愛を重ねちゃったドラコ君。
なにげにかっこいいぞ、ドラコ?
私のイメージではすごくヘタレてるのに…!!
でもこんなドラコもありですよね?(必死)


2002/11/19    アラナミ