Let us reconfirm









今日(・・・・・もう昨日かもしれないけど)の反省
世界一ムカツク男と談話室で。

ええと、確か事の発端は私の発言だ。
いま思いだすと顔から火がでそうなくらい恥ずかしい事だったような気がするので割愛。
奴のリアクションからにしようか。




「それは、どういう事だ
片眉を優雅にゆがめて彼は対応した、愚民の反乱に。
「・・・・・言葉の通りよ、ルシウス。」
私の向かいでムカツクほど横柄な態度で談話室のソファーに深く腰を掛けていた男は、私の言葉にまったく動揺したりはしなかった。
読んでいる本のページも同じペースでめくられつづけている。
「意味を説明しろ」
「態度がでかい人には何も言わない」
「君が先ほど言った言葉の意味を私にでも理解できるように説明してもらえるかなミス
すこし眉間に皺を寄せて早口で言い直した、すごく言いなれてるみたいに。
とても紳士的で好感の持てる対応にシフトチェンジしたんだろう。
彼は沢山の対応の引出しを持っている。たぶん天井までの高さの棚だ。
相手によって的確に態度を使い分ける、嫌な・・・・社交的で素晴らしい奴。
「そして君は言葉の使い方は少しばかり乱れているな」
良識のあるお嬢さんは“でかい”とは言わない。と彼は訂正した。
・・・あんまりへりくだってないような気がするけど、彼にとってはこれが精一杯なんだろう。
あああ、カネモチって本当にムカツクわ。
「・・・・そうね、意味は『私がアナタの彼女である事によって、アナタは何かメリットでもおありなのかしら?』って感じね」
「俺のどこが気に入らないんだ?」
目を細めて、おもしろそうに口の端を上げて聞いてくる。
この自意識過剰男め。
別に私はかまわれたくて、わがままでそんなこと言ってるんじゃない。
「気に入らないっていうか・・・・淡白だとおもう」
「淡白とは?」
「・・・・態度が。一緒にいるときもほとんど何も話さないし」
ルシウスは少し楽しそうに見える。私は全然楽しくなんかない。
「それで?」
「・・・・・・なんていうか、そのへんの女の子と私への対応があんまり変わらないし。
いきなり呼びつけるくせに、ただ制服が乱れてるとか、マグルの知り合いは持つなだとか」
・・・・今だっては私のこと見てないでしょ。そんなに本の続きが気になる?
「そうか」
まったく重要じゃない話とでも言うふうに、ルシウスマルフォイは別段口調を変えるわけでもなく
姿勢を変えるでもなく会話を続けていた。
そして軽く杖をふり、一目でわかる高級そうなカップと間違いなく高級な香りのする紅茶を、目の前のテーブルの上に出現させる。

「お前もほしいか?」
「いらない」
「・・・・・好きだと言っていた」
「気が変わったの」
「そう意地を張るな」

私には選択の自由も権利もないらしく、目の前には暖かそうな、香りのいいミルクティーが置かれた。
畜生、おいしそう。でも意地でも飲んでやらない。
「飲まないのか?」
多くのカネモチがそうするように、彼も優雅にカップを口に運び、優雅にブラックティーを飲み下す。
優雅、優雅、優雅!たぶん私はそれでしか彼の動作を形容できない。あ、あと嫌な奴。
「・・・・・・。」
意地でも飲まない、意地でも。
「・・・・俺を困らせて楽しんでいるのか?」
私の信念、プライドおよび尊厳は、彼の鋭い、人をもきっと呪い殺せるような目でもろく崩れ去った。
「飲むよ、飲みますから、呪わないで。」
呪いか、おぼえておこう。と彼は笑いながら言った。
私にとっては笑い事じゃいない。
「いただきます」
カップを掴み、一気に口へ流し込む。
この紅茶は、淹れたてだったという事も忘れて。
「熱っ!!」
淹れたての、とにかく熱い液体を一気に飲むと火傷するのよ、知ってた?
なさけないやら、かっこわるいやらで泣きたい気分。
「慌てて飲むからだ。お前が悪い」
私が涙目になっているこの瞬間も、目の前のセレブリティナイスタフクールガイは優雅に茶を飲みつつ優雅に本を目でたどっている。
ムカツク奴だ。助けろよ、まがりなりにも私は彼の恋人だ。
私は魔法で氷でも出して治療したいのだが、慌てているので杖にローブが絡まってなかなか思うようにいかない。最低。
「・・・・火傷でもしたのか?」
パタン、と本の閉じられる音がした。
あら珍しい。
自分以外の人が怪我をしようと血をだらだら流そうとかまわずに自分のしていた作業を続ける人が、人の症状を気にするとは思わなかったわ。
「・・・・・舌を、すこし。」
ニヤニヤと笑いながら彼が腰を上げた。
「見せてみろ」

口をあけて舌を突き出す。ついでにポケットの下では中指を突き立てる。彼に見えないように。せめてもの反抗だ。
なんだろう、もしかして魔法で治してくれたりするんだろうか。
「これくらいで痛がるんじゃない、軽い火傷だ」
私の頬に手を沿えて、自分が観察しやすいように(関節のきしむ音なんてまったく気にもとめないで)首(私の首よ!)の角度を調整する。
指でも噛み切ってやろうかと思って、口を閉じて彼の指に歯を立てる。
という自分を想像するだけで止めておいた。後が怖いから。
「でも、痛いものは痛いよ」
顎をおさえられていてうまく喋れない。
「そのまま口を開いていろ」
痛みを耐えようと(あと、顔が近くにあって恥ずかしかったから)閉じていた目を開けた。ルシウスの顔は相変わらず近くにあった。
「けして閉じてはいけない」
まあ、俺が押さえているのでは閉じられないだろうがな、と彼は笑った。
とにかく、間違った事はしない彼なので舌の痛みが薄れるような事をしてくれるのだろうと思う。
顎は動けないのでまばたきで合意の意思をあらわす。
彼は満足そうにうなずくと(でも手は離してくれなかった)
もう片方の空いている手で私の「目を閉じていろ」と死体の目を閉じるような手つきで促す。
 この人は他人がどんな精神的プレッシャーを受けようが全然気にもとめない人だから、珍しい。
今日は機嫌がいいんだろうか。
・・・・もしかしてホラームービーもスプラッタムービーも魔法薬学の生物解剖が大好きな私でさえ
見てられないくらいグロイことになるのだろうか。
「痛いのは嫌だなぁ」とか「派手なアクションになって周りに注目されたら嫌だな」とか考えていたら予想もしなかった。
むしろ、ルシウスマルフォイが女としゃべっているというだけで談話室の中ではかなり目立っていたんだけど。
そして、「そんなことする人間が地球上にいるの?ワオ!」な事態が発生してしまった。
私のそのときの驚き様は実に激しく、おもわず固まってしまったほどだ。
なぜ私はあの時反撃をしなかったのだろう、きっと噛めた筈だ。ああ、もったいない・・・・

書くのも恐ろしい、嫌だ嫌だ思い出したくない!





でも、書いちゃおうかなぁ・・・日記だし。
そう、どうせ見てるのも読むのも私一人だ――――って、いつの間に起きたんですかアナタは。

「・・・・・・・・・なにをしている」
私の横で目を閉じて夢の世界にご旅行中だったルシウスは体を起こし、かるく髪をかきあげ、目を細めた。
むしろ、そのまま眠りの羊の王国帰ってこないでください。
羊の執事をしたがえた、仰々しいゴージャスな王冠はきっとルシウスに最高に似合うはずだから。
「なんだ、日記か」
大きな、枕の沢山ある金持ち仕様のベットで体育座りをし、ベットサイドのテーブルの小さな明かりを頼りにして、コソコソちまちまカリカリと文字を書き綴る私の姿はさぞブキミだっただろう。

・・・・・立って半畳、寝て一畳。そんなに大きいベットはいらないっていうのにこのベットはやたら広い。
まあ、大きいベットの使い道はちゃんとあるみたいだけど、この前それぞれ違う人の髪の毛やらなにやらがばらばらと見つかったのは見間違いだと思いたかった。
(たぶん27日前の事だ、日記参照)せめて後始末くらいはして下さい。
私が傷つくから、怒るから、普通に。でも答えが怖かったので結局何も聞けなかった。私のチキン!腰抜け!悪い子!
部屋に帰ったらアイロン台に頭を打ち付けて自分をお仕置きしなくっちゃ。、悪い子!
・・・・・・・またムダにくだらない妄想にふけっている間にルシウスは完全に目を覚まし、腕を組んだ。
「いつもお前は日記をつけているな」
「・・・・・そう?」
たしかに、私はいつも日記を持ち歩いて何かあったら書きつけておくことにしている。
そして寝る前にまた、今日あった事をまとめて書いておくのが私の習慣だ。

だから一日分が1ページをうわまわる事が多いので日記用に売られている日記帳にではなく、普通のノートに書いている。
書き終わらせてしまった日記はナンバリングをしてクローゼットに、いつかの思い出として。・・・・暗いなぁ、自分。
「ああ。俺の見た限り、それで今月に入って二冊目だな」
「・・・・・どうしてわかるの?」
私は一冊を書き終えるまではナンバーもつけないし、使い始めた日付やらも、けして表紙や裏表紙には書かない、書いたことがない。
見た目もただのノートなので、一目では日記だとはわからないだろう。
フン、とルシウスは得意そうに笑う。そしてどこに隠し持っていたのか空中で杖を振る。
どこからか何か静かなオーケストラのような音楽が流れた。
何のつもり?とわけがわからずに混乱して聞くと、
「これからお前を感動させるつもりだから、BGMが必要だと思った」と恥ずかしげもなく言い切った。
「感動?」
そうだ、だからよく聞いていろ。と前置きし、彼はしゃべりはじめた。
ルシウスはたまに突拍子もない事を言い出す。金持ちの特徴なのだろうか。
変な方向に苦労して、脳味噌の構造が人と違うんだろうか。
カネモチ症候群?まー、経済的に他の人より恵まれてるんだから、すこしくらい苦労しなさいよってことだ。

「いつも見ていればわかることだ」
くだらない妄想の長い道を歩いていた私を、ルシウスの声が現実に引き戻す。
「いつも?」
パタンと深緑の日記を閉じて私はルシウスを見た。
「そう、気がついていなかったのか?」
「何に?」
「私はいつもお前を見ている」
「・・・・・え?」
驚く私を置き去りに、目の前の金持ちはつらつらと独白を続けていく。
でも、あんまりにも淡々と言うので何かの事件の重要な証言にしか聞こえない。
「お前の行動、好み、周りの人間関係、成績。すべて私は把握している」
・・・・ストーカーっぽくないですか、それ。
や、せっかくだからポジティブに考えよう。
彼は私の事を気にしている、興味がある。
「どうして?」
少し黙り込み、唐突に微笑みながらルシウスマルフォイは私の目を見て言った。
「・・・・・それは俺がお前の事を知りたいと思っているからだ」
「お前は俺の事を淡白だと表現したがそう言いたいのは私のほうだ」
「もっと君も俺の事を見てくれてもいいのではないか?」
「君は、俺の好みをすこしでも把握しているか?」

「どうした、なぜ黙っている」

なにを言われているのか解らなくてしばらく何もいえないでいると、
不機嫌そうにルシウス組んでいた腕をほどき、「さあ、嬉しがれ、泣け」と尊大に腕を広げた。

もっと優しい歌じゃないと泣けない、と悔し紛れに強がると、ルシウスは杖を振り、ドアーズに変えた。
そして私は心置きなく感動した。
相変わらずえらそうな顔で腕をひろっげっぱなしのルシウスを見ていると、なんだか笑いがこみ上げてきた。
さっさと抱きついて来い。きっと彼はそう言いたいんだと思う。言えばいいのに、と私は思う。
言いにくい失礼な事は平気で言うくせに、人へ好意をねだる事は苦手らしい、変なの。
これもカネモチシンドロームの症状の一つね、と私はふくみ笑う。
なんだ、意外とルシウスの事を知っている。

堪えられない笑いを必死に噛み潰しながらルシウスに遠慮なく飛び込む。
背中に掌の温度を感じる、脇のあばら骨を締め付ける腕。奴は加減を知らない。
器用なのか不器用なのかよく解らない、くすくすと笑うと、何がおかしい。と不満そうな顔を見せる。
それがまたおかしくて、さらに笑ってしまう。
「いいか、これからお前には俺の好みを叩き込んでやる」
「ええ?」
「俺がこんなにお前の事を知っているのに、これでは不公平だ」
「えー?」
意味のわからない提案にうなる私のことなんてまったく気にせずに、彼はつづける。
「君が俺の事について何か憶えたらキスをしてやろう。もしも記憶できなかったら・・・・・どうしてほしい?」
まったく、自分のキスにそれほどの、人のよろこぶメリットになる価値があると思ってるのだろうか。


「ハグがいいな」
すこし間を置いて、目を閉じて静かに私は言った。
「ハグ?」
そう、ハグがいいの。と私はくりかえした。
「それでは戒めにならない」
ルシウスは怪訝な顔で眉をひそめる。
「いいか、お前のデメリットになり、俺の楽しみであるもの。それが適切な処罰だ」
「だって、ルシウス、キスもハグも好きでしょ?」
私も好きよ、二人とも好きなことが一緒だから、二人のあいだに嫌なこととか、ありえないもの。
はにこりと笑い、ルシウスを見あげる。
うなるように彼は天井を仰ぎ、目を閉じた。
「それに、私もルシウスのことは良く知ってるから」
そもそも罰を受ける原因も理由もないの。
ルシウスは目を細める。私もほほえむ。
「たとえば?」
彼はとても楽しそうに見える。私も楽しい。
きっと、自分が注目されたり好かれたりする事がとても好きなのだ。
できれば、他の誰かから崇拝されることよりも、私から好かれていることにより喜んで欲しい。

「誰から見てもパーフェクトで、最高、自慢したい」
「お前は、その最高な男に好かれるほどの魅力を持っている」
それは素晴らしい事だ、光栄に思え、とルシウスは言った。
「尊大でえらそうでムカツクけど、それがに見合うくらいの実力がある」
「お前は気づいているか?今まで何人の男を俺が間引いているかを」
「知ってるわ、あなた、私の選択の機会をつぶしてるのよね?」
喉の奥でルシウスは笑う。
「まあ、お前が俺から離れることはありえないが、気の迷いということもある」
俺はお前が間違った道にすすまぬよう、補正をしているのだ、感謝しろ。と彼は言った。
「正直に言ってよ、私のこと好きで、心配なんでしょ?」

言い終わらぬうちにルシウスはキスを落す。
湿ったキス、あたたかいキス。


「キスは正解のご褒美よね」
にやりとチェシャネコのように笑ってルシウスを見上げ、彼の首筋にくちびるを付ける。
「違う?」
さらに追い討ちをかけると、少しだけ躊躇してルシウスはさらにもう一度キスをする。
もう、笑う余裕なんてきっとない。








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甘い甘い甘い。
甘いよー小沢さーん。
(スピードワゴンに財団て付けたい。付けたい。)


C VanillaRadio
トラ

2004/6/20