ギルデロイロックハートのお悩み相談室☆君の悩みもこれで解決!!
ふわふわブロンドハー子ちゃんの悩み








学校のある一箇所に設置された奇妙なロココ調のプレハブを御存知だろうか。
急遽一晩で建てられたらしいそれはまるでプレハブとは言い難いよっぽどテントとと言った方が正しい一見のくせに、中身はやたら豪華だ。
きっとこのホグワーツ内で一番豪華で美しく華やかで趣味が悪い―――のかもしれない。
いやいや、正統派だ、素晴らしい。あのダンブルドアだってにっこりと笑っていた。スネイプ教授あたりに言わせればなかなか趣味のよろしいなどと嫌味でもある褒め言葉を頂戴しそうだが。
ともかくそんなプレハブがどうして建ったかというと、めでたくも都合の悪いものだけを取り残してすべての記憶を取り戻した(と仮定する)ある有名で高名な著者、ギルデロイロックハートがこの学校に帰ってきたのだ!!

「恐れ多くも私は闇の魔術に対する防衛術は得てして不得意でして…」と数年前の彼からは考えられないほど素直に真実を述べてホグワーツ生徒のためのカウンセラーとも言える立場を名乗り挙げた。
といっても元々そういう類のことはマダムポンフリーが兼任していたにもかかわらずのことなので、やっぱり少しばかりのでしゃばりおせっかい!!カンチガイ!!!!は治らなかったらしい。元々の性分なんだろう、でもみんな笑って許してくれるから愛嬌だ!!
とまあそんな理由で設置されたプレハブはお世辞も言い難く趣味が悪い(と思う)。
正統バロックを派手なゴテゴテしたラメとショッキングな原色を併せているのだから仕方がない。というかこれはもうバロックではない、もはや新しい彼のスタンスだ、ブランドだ、マドカルミー!!

はてさて長い前置きはともかくこの相談室の説明をさせて頂くのは自称天然毒舌のシスターです、よろしくね。
しかるべき教会からロックハート先生のお手伝いをと任命された私はこれからここで彼と一緒に生活をすることになりました。
俗世から離れるべき存在のシスターが異性の方と生活!!なんて本来ははばかるべきことだけど、私は―――まあ俗世から離れようと頑張ってる他のシスターとは少しばかり毛色が違ったから喜んでしまったわ!!
うふふ、手のかかるはねっかえりだからって修道院なんかにぶちこみやがってクソ親父!!ここでいい男ゲットして結婚して自立をはかってやるわよあーっはっは!!
、おっと。こんな大口開いて笑っていたらつかまえられるものもつかまんなくなっちゃうわ、いけないわ
目を通した学生名簿には由緒正しいお金持ちもいたし、将来有望そうな人物も何人か発見した。ここで働く教授だって構わないし、なにより今回パートナーとなるギルデロイロックハートといえば誰もが耳にしたことがある上に絶大な人気を誇るスーパースター(いや、スーパーライター?)なのだから私の成功は決まったものである。
ああ、高笑いしたくてたまらないわ!!!


「あ、あのー…すみません」
「はっ…あ、あらぁ、どうしたの?ロックハート先生に相談かしら?」
はい、と礼儀正しく返事をした女の子はブロンドのふわふわが可愛い子だった。
いけないいけない、ちゃんと仕事をしなくっちゃあね!!
「せんせい、せんせーい!!お仕事ですよー」
プレハブの中へ彼女を招き、相談室へと促しながら先生を呼ぶ。さっき紅茶を入れたばかりだから、きっと奥で休憩しているに違いない。
楽にしててね、今紅茶をいれてくるからと彼女をイスに促して私は相談室から出て行った。
彼女はこの相談室に相談にやってきた記念すべき一人目だ、おもてなしを!!



トレイに紅茶をふたつのせて相談室のドアを開けたところでの手は止まった。
ロックハートが生徒に向かって杖をむけている!?「せ、先生!!」
慌ててトレイをテーブルにおいて彼の手を止めた―――「一体なにをしてるんですかっ!!」
ここで人傷沙汰など起こされたらロックハートはクビ!!相談室は閉鎖!!止められなかった私は責任を問われて強制送還!!私の野望は叶うことなく無様にも打ち切られる!!
「いやいや、忘却術をかけようと思ってね」
にっこりと笑う先生は悪気というものがまったくない、あああ、わかってないんだこの人はまったく。
「ダメですよ、うまくコントロールできないと生まれてから今までの記憶がなくなっちゃうことだってあるんですから!!」
ていうか自分だってヤバかったんでしょう!!と怒鳴りつけてもああ、そうだったね。なんて気楽に言ってくれるのだからまたこの人はなにかしら後遺症でも持ってるんじゃないのかと思う。
てゆうか危ない、ヤバイ。悩みなんて忘れてしまえるほどのものならそれだけのものだったのさ、とか言いそうだ。そういう問題じゃないだろうに…。
今度からは絶対に相談者とロックハート先生をふたりきりにさせるなんてやめよう、危なすぎる。

「はあ、まあふたりとも紅茶でも飲んで落ち着いてください。そうしたら早速だけれど相談を聞いてもよろしいかしら?」
ロックハートはほくほくとした笑顔で紅茶にミルクを落とし、スコーンに手を伸ばしていた。
ダメだ、なんのための相談室だ、とも思ったけれど彼なくしては私の立場というものがない。
なんとしてでもこの相談室を成功させなくては!!!
ゆっくりと紅茶を口につけた彼女はこっくりと頷き、それから口を開いた。

「あの―――私、の家は歯医者なの」
「ん、ええ」
唐突な話に少しばかり首を傾げたくなったけれど、言いにくい話であればあるほど人は遠回りな話をしながら本質に近づいていくものだ。
ここはじっと本質に近づくまで待っていなければならない。
「だから両親は矯正させたがってるの――――でも、魔法があるのに」
あるのに、と呟いた彼女の口からちらりと前歯が覗いた。ああ、少しばかり歯が前に出ているのを気にしているのか、と思って私はにっこり笑った。
「そう、それでもやらないのは、貴方がとてもご両親思いだからかしら、えーと…」
彼女の名前はなんだったかと頭を巡らせると、ロックハート先生が「ハーマイオニーグレンジャーさんだよ」と紅茶を手にしながらにこにこわらっていた。どうやら相談を聞くつもりはこれっぽっちもないらしい。こんにゃろ!!
「グレンジャーさん、人間は完璧じゃないわ。いいところもあるし、悪いところもある。外見にしろ、中身にしろね。実際、貴方のお友達はそのことについてなにか言った?気にしている?」
「いいえ」
首を振ったグレンジャーさんはそれでもどこか腑に落ちない顔をしていたので、私は少し言葉を付け加えてみた。
「じゃあ仲良くないお友達がそういうふうに言うのかしら?」
するとグレンジャーさんは驚いたように目を開いたので当たり!と心の中で頷いてからにっこりと笑った。

「その子はよっぽど君に気にかけて欲しいのかな」
優雅に紅茶をすすっていたロックハート先生がやっと口をひらいた。
「私から見ても、君はとても魅力的なレディだからね。勤勉で賢く、器量も良く、友達思いで優しい―――」
グレンジャーさんの頬がピンクに染まるのを見た、「そんなこと…」と言っているが口元は零れ出る笑みを止めるのが必死になっている。
「そうね、だから貴方のそれは―――とっても人間らしくって素敵な魅力だと思うわ」
ロックハート先生と顔を見合ってにっこりと笑った。グレンジャーさんもとても嬉しそうに笑ってくれたのでよかったと思った。

ありがとうございましたとお辞儀をした彼女に私はこっそり耳打ちした「もしも誰かさんに言われたら"完璧な女の子になったら貴方困るでしょう"って言っておやりなさい」と。
彼女は足取りを軽快に校舎へ入っていった。
初めての相談はなかなかよくできた―――。


「それにしてもロックハート先生がいきなり暴挙に出るとは…」
信じられないと思う反面、もしかしたら自分の方が向いてるんじゃないかと思った―――まああそこまで誰かを褒めちぎることはお世辞でもできないけれど。
……とと、そうなると。
ちらり、と目を運んだ相談室では、まだロックハート先生がスコーンを頬張っている(ああ、夕食前にあんなに食べたら入らなくなるのに)。
私が具体的なアドバイスをし、彼が相談者を褒めちぎる、という役割を果たせばいいんじゃないだろうか――――うん、絶対に成功するわよ。私言いくるめるの得意だもの。
そう決めたならば、話は早い。

「ギルデロイ!!これからよろしくお願いするわ!!」
「ん?よろしく

助手などという立場は蹴り倒して相棒ということにしましょう。
私のシンデレラストーリーのためにも力を尽くして成功させてやるわ!!!




月に向かってかけた願いを知るのは、白ひげ三角メガネのじじいのみ。










 

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知る人ぞ知るこの話…っても数年前アラナミとトラの会話から生まれ出たものなので知っていたのは私たちのみですが。
軽く笑ってやってください。
いちおー全12話です。

2004/11/1     アラナミ