ブリティッシュコケティッシュフェチティッシュキャット

 拾い物には福が無い





中止になった期末試験に喜ぶみんなとも美しく青く晴れた空とも違い、スリザリンの生徒であることを誇りに思っているの気分は最悪だった。
きらびやかに、実に自分を贔屓してくれたロックハートが再起不能になって学園を去ったことはすぐに忘れるとしても、

「テストにむけて色々 努力したのになぁ・・・・」

実際、彼女のテストに対する熱意は相当なものだった。
今年は特にグリフィンドールの秀才、こしゃまっくれてもっとも気に入らない
・・・まあ、平たく言うとグレンジャーが熱をあげているスーパースターの教師、ロックハートは相当にバカ者だったため、
二人のお茶会やら座談会やらをうまくセッティングすることは簡単だった。

「う、わぁ!」

頭の中でテストで競争相手をいかに低い点数に貶めるか、いかに自分の評価を上げるかという
数々の努力を思い出して自分を慰めていると、廊下に不親切にも偶然の進路を妨げる物に遭遇し・・・転んだ。
ダンブルドアを侮辱した天罰だろうか。天にツバを吐くと自分に降りかかってくる。ということは、ダンブルドアは天なのか?
とりあえず、ホグワーツの中で独裁者である彼を侮辱した罪は死に価する・・・(アバダケタ!)・・・・わけはない。冗談じゃよ。
というサンタクロースのような笑い声と笑顔で、虫だろうがなんだろうがをひねりつぶしそうな最高権力者の声を聞いたような気がした。
つまり、は転倒ゆえに頭を打ち、しばし冷静な思考という言葉を思い出せなかったのだ。

彼女の足もとには、金のありあまっってCGを使えることを自慢したくてしょうがないスピルバーグでも作らないような、
毛の抜けたグレムリンみたいなETみたいなクリーチャーがころがっていた。
とにかく「キモッッ!」が彼女のクリーチャーに対する第一印象だ。
これはたとえ少女漫画マジック(トーストを咥え街角で衝突☆アンタ気をつけなさいよ!お前こそ!)をもってしても挽回できないほどの最悪な出会いだ。
は見たこともない不気味な生物のコウモリの羽のような耳を摘み、目の前まで持ち上げる。

これは、もしかして屋敷しもべ妖精とよばれるものではないか。
旧家のお城みたいなお金持ちの館に憑く妖精・・・・でもどうしてこんなところにいるのだろうか。
なにかのトラブルでもあったのかしら。普通、見かけることはないはずだけど。
ホグワーツの屋敷しもべ妖精はもっと違うような気がする。だって、少なくともピローケースを服代わりにはしなさそうだもの。

ああ、どこぞの御主人様がお子様に伝言とか届け物とか?

・・・・フクロウ持ってないのかしらね。

とにかく、この持ち主はお金持って事には変わりないわ 
御礼はもちろん、上手くいけば玉の輿とか・・・・

・・・・・・・・以上が彼女の思考のうつりかわりである。
非常に打算的で、仮定のうえにたつ仮定というものは結局、机上の空論であるということを忘れているようだ。








「そんなわけでスネイプ先生。御屋敷に住んでるお金持ってこの学校にどれくらいいます?」

彼女はそのクリーチャーを、今はていの良い休憩室――――
(”休憩”しても”宿泊”しても料金を取られたりしない、しかも自分の部屋でないのでクリーニングは彼の役目だ。
 そして背徳的な部屋の内装・・・まさに学校!・・・がさらに気分を盛り上げる。)
――――と化しているスネイプの地下研究室準備室にもちこんだ。

「何がそんなわけだと言うのだ、ミス
もちろん、セブルススネイプは脈絡のない、まったく成立しているとはいえない会話に眉をひそめる。
「だいたい、こんな夜半過ぎに生徒である君が自分の寮にいないということはおかしいと思わないのかね」
スネイプは空中から魔法という技をつかってポットとティーセットをとりだす。
「別に?寮を抜け出すのは好奇心旺盛な思春期の生徒にはありがちのことだし」
紅茶を差し出されたは、カップに上品に口をつけた。
「先生、このお茶ぬるいです」とが抗議すると、フン、とスネイプは鼻で笑った。
「あたりまえだ。我輩としてはさっさと飲み干して部屋から出て行ってほしいのでな。熱いとなかなか飲めないだろう?」
だから茶を出されただけでもありがたく思いたまえ。とスネイプは言った。
は無言ですばやくスネイプのカップを自分のカップと取り替える。そして湯気の出ている紅茶をおいしそうに一口舐めた。
そして艶然とほほえむ。「良い葉ですね、スネイプ先生」それにちょうどいい温度。と言い、とどめをさす。
君はスリにでもなるつもりかね、その際には卒業校をホグワーツだと、けして口外するな。とうなるように低い声で言い放ち、
うんざりしたように杖を振って、すりかえられたカップからも湯気を出させたスネイプは言った。
「で、何をしに来た、手短に話せ。」
は満足そうにニコリと笑った。
「だから、屋敷しもべ妖精がいそうな家に住んでる生徒は誰でしょうか」
「そんなことを知って今度は何をするつもりだ」
「これ、拾ったんですよ」
は例の妖精を摘み上げる、まだ気づかないけど生きてるよね?
死んでたら湖に沈めに行ってきてくださいね、先生。とのたまった。
「何をした・・・・」
スネイプの目は、まるでが武力をもって
平和的ではない方法でこのしもべを捕虜として奪取したのではないかと、そう想像しているような目だった。
「何もしてませんよ 拾ったんです」
「・・・・拾いものならば寮監である我輩が預かっておこう」
「ダメです」
は厳しい声で即座に答えた。
「何故だ」
「私が、持ち主を見つけるんです」
「面倒な事は嫌いではなかったのか?」
「私の輝かしい未来の為ですよ」
「フン、どうせ御礼がどうのなどと考えているのだろう 打算的だとは思わないのか」
「先生だって嫌われてるくせに」

「・・・それは関係ないではないか」
抗議をはじめようとするスネイプのことはまったく気にせず、の注意と視線をべつの方向へむいた。

「あ、動いた」
もぞもぞと屋敷しもべ妖精は動き出した。うわ、やっぱり気持ち悪いわ、とは言葉をもらす。
「ぶらさげられて目が覚めない生物はいなかろう」
あきれたようにスネイプは口を挟む。
「だってあんまり触りたくないじゃないですか」
「・・・・・・。」
「持ち主の前じゃ抱きかかえますって」
「・・・・・そうか」
もう何もいうまい。スネイプはそう悟ったようだ。



「大丈夫? どこか痛いことない?」
はつとめて優しく見えるよう、最高の笑顔をつくりあげた。
「変わり身の速さは驚異だな」
「先生ウルサイ」
まだ状況がわかっていなさそうな 顔をするクリーチャーはまばたきをくりかえしている。
さっさと御主人様に引き渡してしまおう、とは思った。
「大丈夫?何か食べる?」
「・・・・。」
左右に首をふるクリーチャー。良い屋敷しもべ妖精は魔法使いに介抱などされてはいけないのだ。
そして・・・・必死な感じは意外と可愛いく見えないこともないような気がしないわけでもない。
「名前は?」
「ドビーでございます」
そう、ドビー、とつぶやいてはニヤリと笑った・・・笑顔の下で。
「ドビーは、こんな所で何してたの?」
「ドビーは御主人様のお供でホグワーツにまいりました」
はものすごく心配そうに、20年間かわいがってきたペットが病気に瀕している状況のような声を出した。
「それで、はぐれちゃったの?」
「いいえ、はぐれたのではありません」
「じゃあ、どうしたの?」
「ハリーポッター様がドビーを自由にしてくださったのです!」
ドビーは急にすばやく立ち上がり、自信の持ち方を思い出したように堂々と声を張り上げた。
「ハリーポッター様がこのドビーめを自由にしていただいた後、はりきって魔力を使ったはいいのですが、ひさしぶりで腕が訛っていたようです・・・・」
「自由って・・・・今は誰の召使いでもないって事なの?」
の瀕死のペットを思い描く手間ははぶかれた。悲しい事を想像しなくても、目の前で起こっていることは現実の誤算による悲しみであり、驚きである。
「そうでございます、ですがドビーはここで決心いたしました!」
「な、何を・・・・?」
「ドビーは親切にしていただいた――――― ところでお名前は?」
「・・・・・ 
ためらいがちに名前をつたえる。
何?お礼でもしてくれるっていうの?アナタが?
「お礼に様の召使いとしてお仕えする事に決心いたしました!」
「ドビー それ、本気?」
の華麗なる計画はどこで狂ってしまったんだろう・・・・嗚呼、合掌。
「本気でございます御主人様」
なんだか悦にはいって得意げにしているドビーは、せめて、毛が生えていたら可愛いかもしれないのに。
ああ、論点がずれている。いいや、とっくに話しも目的もずれている。最悪という方角に。
「スネイプ先生・・・・」
ポッターの名前が出たあたりから不機嫌そうに黙っていた先生に、淡い期待をしながらは助けを求めたが・・・スネイプの表情をみて玉砕する。
「だから我輩に任せておけばいいものを 自分でまいた種は自分で始末するのだな」
スネイプは冷たくそう言いはなつと、の飲み干した後の紅茶のカップをソーサーの上へひっくり返して置いた。
すこし(が放心している様を楽しく観察しながら)のあいだ待ち、ソーサーに落ちた紅茶の染みを見てせせら笑った。
「なんと、ミス。君の運勢は最高のようだ」
「はあ?」とは言葉にならないような気の抜けた声を出す。
「つまり、この従者との出会いは、これからの君のすばらしい未来を暗示しているのだよ」
そして、もうこんな時間か、とたったいま気づいたようにスネイプは時計を見る。
「さあ、そろそろ部屋に戻ったほうが良い」
スネイプは実にスネイプらしく笑った。(水を得た魚!他人の不幸をまのあたりにしているスネイプ!)
「ドビーとかいったな。 様は部屋にお戻りだそうだ。お送りして差し上げねばなるまいな?」
「はい、ドビーは御主人様をお連れになります。お手をどうぞ!」
スネイプは「嫌だ、嫌だ」と表情で語るの背をそっと後押しし、なんでもできる魔法の杖で手を触れずにドアを開けた。

ああ、かなり可哀想な私に幸有らんことを。とは心中で祈り、
あたらしいご主人を見つけることができて嬉しくてたまらないようなドビーは踊るようにを先導して暗い廊下を歩いてった。
スネイプはその背後で最高の笑顔をしていたとかなんとか。

たぶん、純真な心をもった天使のような信仰深い生徒がその場に居合わせたら、あまりのスネイプの笑顔に卒倒しただろう。
なぜならスネイプがほほえむということは、よっぽど悪いことがあったに違いない。きっと世界の終わりだ。アルマゲドンだ。
大統領は早急に石油採取者を宇宙飛行に訓練をさせなければ、
アメリカとその他の国々の中心にある、搾取されてばかりの地球が粉々になってしまうだろう。
エアロスミスの歌声を聞くことが楽しみでしょうがない。目を閉じたくないよ!と誰かが叫んだ。叫びの館から聞こえてきたのだろうか。


・・・・そんな恐怖を感じ、この場に引き寄せられたゴーストは二人と一匹の未来のためにゴーストらしく歌おうと思ったが・・・・やっぱりやめた。
フィルチがこちらをにらんでいたからだ。

そして部屋に一人でのこされたスネイプはというと、先ほど自分の飲み干した紅茶のカップをソーサーへひっくりかえし、
ソーサーに落ちた紅茶の澱で自分の未来を占った。結果は最低で、誰も見てはいないというのに、こっそりとの紅茶とすり替え、
満足げにベットへ入り眠りについた。

二人と一匹に幸あらんことを!










------------------------------------------

なんだこりゃー。だめだこりゃー。



トラ