(基本的にコケキャットシリーズの続きなのでそっちを読んでからのほうがいいかも。わからないネタがあったらそうだと思ってください。)









  WAHTS YOUR FLAVOR
    tell me whats your flavor











白い封筒は音もなくドアと床の間の隙間、または窓から部屋へと吹き込む風に乗ってそれぞれのベットの上の(形も材質も各々だが)枕の上へ音もなく静かに着地した。
魔法的にそれぞれの部屋に運ばれた白い封筒は、ひっそりと枕の主の帰りを待つ。
広間での夕食はそろそろ終わるころだろう。
風が吹き、封筒は待ちきれないかのようにかすかにふるえた。


 完璧にベッドメイキングされたベッドの白く高級そうな枕の上に乗った不審な白い封筒を見た、父譲りの由緒正しい金髪碧眼をもつ少年は、いぶかしがりながらも封筒に手を伸ばした。
封筒をつまみ、差出人の署名を探す。ところが、どんなに目を凝らしてみても封筒は白いままで、何も見つけることはできなかった。
しょうがなく思い、中身を取り出そうと机の引出しからペーパーナイフを取り出そうとするが、封筒はタイミングを待ち望んでいたように封筒のは少年の手から逃げるようにからかうように床に滑り落ちた。
そして そのままの勢いでベッドの下に滑り込んでしまった封筒に、少年は必死に手を伸ばす。
封筒の中のメッセージカードの一行目には宛名書き、カードの一番下には送り主の署名があった。
しかし、少年がそのカードの中身を確認する為にはあと2インチばかり腕を伸ばさなければいけない。
彼が何か・・・・たとえば定規のようなベットに下の隙間に差し込むことのできる物を使う事を思いつけばいいのだが・・・。
彼はまだ必死に腕を間接と筋肉のゆるす限り伸ばしつづけている。
少年の名前はドラコマルフォイ。父譲りの美白美麗な容姿をもつが、受け継がれるはずだった父のような知的な頭脳は母の腹の中に忘れてきてしまったようだ。




 その日の夕食を評価し、明日にするべき事を談笑しながら廊下を歩く2人分の声と足音がする。
暖かそうな暖色系の部屋に彼らはそろって帰還した。
乱雑に引っ掻き回された、あわただしく出て行った朝のままの寝台には不似合いなほど真っ白い封筒を2人はそれぞれの枕の上にに見つけて困惑する。
しかし困惑ということが彼らの頭をよぎったのはほんの一瞬で、考える前にまず行動を起こしてしまう2人がとったアクションはもちろん、白い封筒を破り開けることだった。
2人が白く優雅な封筒をきたなくちぎり、その行動の結果、目にした白いカードに書かれたメッセージはたった2行。
1行目には彼らの、それぞれの名前。そしてもったいぶったような空白の下に、2行目にして最期の行には“FROM・・・

しかし彼らはその行を最期まで目で追うことはできなかった。
自分達の名前を読み取るだけで精一杯の時間しか、彼らには与えられなかった。
彼らがそのカードに指を触れたその瞬間、彼らはどこか暗い部屋(本当に屋内かどうかもあやしい場所だ)に飛ばされてしまったのだ。
「こんばんは」
その暗闇の中で、聞き覚えのある声が2人の鼓膜を振動させる。彼らはウィーズリーツインズ、名前はジョージ、そしてフレッド。
彼らの頭には今度こそ困惑という感情が腰を据えて居座った。




 談話室に居座る弟達をそれぞれ自分達の部屋へひっこませるという精神的重労働(だって彼らは口がたつのだ)を終えた彼はとても疲労した様子で自分の部屋のドアノブに手をかけた。
しかし彼はぬめった感触に眉をひそめ、ドアノブから手を離す。手のひらとドアノブのあいだを透明な糸がひいていた。
彼はうなった。まったく、彼らの仕業に違いない。彼はそう思った。
溜め息をつき(このままじっとしていてもしかたないので)ぬめる感触に少し苦労をしながらドアノブを回しドアを開けるとりあえず手を洗いたい。
このべとべとを落としたい。彼はそう思い、生徒寮のそれぞれの部屋についている簡単な水場に足を運んだ。
水道をひね・・・・・ろうとした。そして彼はとても嫌な事を思い出す。
 この前弟達がどこからか手に入れてきた、マグルの開発した接着剤。
「A剤とB剤が混合した時にとても強力に接着する。接着面がせまくても問題ありません。
ドライバーの先端だって(ドライバーってなんだ?と片方の弟が言った。
マグルの工具だ、と僕は言った)垂直に壁に接着できます。」
(クールだ。弟達はそう声を合わせていった)
たしか包装の裏側にはこんな事が書いてあったはずだ。きっと彼らだ。
念のためにドアノブを掴んだほうではない手で水道をひねる。
やっぱり、ぬるぬるとした感触だった。

 しっかりと完璧に手を洗ったあと、ふう、と彼は一息ついた。
そして彼の定規を使ったように完璧にベットメイキングされた寝台に腰をかけると、朝と現在との異変に気がついた。
的確な位置にセットされている枕の上に、少しゆがんだ位置に鎮座している(色の白さは完璧な)封筒をいぶかしげに手にした。
差出人の名前が見えない。表情を少しゆがませながら彼は封をきった。
彼の名前はパーシー・ウィーズリー。とても聡明な首席の、石頭。



 
「ああ、本当に仕事っていうものは疲れるね・・・・」
明日の授業で取り扱うものの準備をそろえ、今日の授業で回収したひとり羊皮紙1メートル分のレポートに目を通しおわった彼はささやかなため息をひとつ落として上を仰いだ。
しかしなかなかながら、教師というものはおもしいろと思う――――だけどまさか、自分がそうなるとは、あの頃は思ってもみなかったものだし、想像もつかなかった。
「未来というものは予想がつかないものだからなぁ・・・」
くすり、笑った彼は困ったような苦いような懐かしいような顔でもう一度羊皮紙を見つめなおした。
「さて、これでおわりだね」
にこりと彼は笑って立ち上がる・・・なんとか理由をつけてでも、今日の彼はそうしたかったにちがいない・・・それも、なるべくはやめに。
ノイハウスの新作チョコレートが届いてからそわそわしっぱなしだったのは言うまでもなく、彼はいそいそとカップに紅茶を注ぎだした。
熱く湯気の立つカップの隣、チョコレートを置くために用意したディッシュ。
その上にまるで狙ったかのように、しかもタイミングよく、それはあらわれる。
「・・・封筒・・・?」
音もなく上品にするりとあらわれたそれに、彼は顔を顰める。
せっかくの休憩時間のはじまりに、だれが送りつけたというのだろうか・・・しかも、ふくろう便も使わず。

「まったく・・・不躾だね」

とっととその内容を確かめチョコレートを堪能すべく、・・・闇の魔術に対する防衛術の教師、リーマス・ルーピンはペーパーナイフなど使うことなく丁寧に封を切った。





合言葉を言って通り抜けた談話室ではたくさんの寮生がにぎわって、今日はなにをしただとか明日の授業はなんだとかとそこかしこから会話が聞こえてきた。
いつもならその中に混じってハーマイオニーやら双子のフレッドジョージ、ネビルやシューマスやらと他愛無い会話を交わすが、今日はそれを断って、彼らはさっさとそこを通り過ぎ、男子寮の自室へと向かった。
後ろからはハーマイオニーが訝しげに僕らを見ている。
だけどあの口からなんの文句も飛び出ないのはおそらく―――そう、僕らがこれからすべきことを知っているからだろう。
僕らがやらなくてはならないこと―――それでいて、彼女が既にもうやり遂げてしまったこと。
先週出された魔法薬学のレポートの課題が、ハリーは30センチほど、僕は60センチほど残っている。
明日提出のそれは、珍しく参考にしなさいよとハーマイオニーが渡してくれた本のおかげで多分終わるだろう……なんの邪魔もされずに進めることができたならば。
(そして僕がその課題にあきたり、睡魔に襲われたりしなかったら)

「ああ、どこにレポート置いたっけ」
書き途中のレポートをそのままにどこへ置いたかわからなくなってしまうことは多々ある。
だってそうだろう・・・?僕はあの恐ろしいほどに勉強に執着を見せる女の子とは違って、一度にすべてを終わらせるほどの集中力はないのだから。
ハリーは結構几帳面で後回しにしておきながらもどこかになにかをまぎれこますということは滅多にない。
すでにレポートを片手に見つけ出し、羽ペンとインク瓶を持っているのだから。

「見つかった?」
「ああ・・・うん・・・たしかここらへんに・・・・・・・あ、あったよ!!」
本と教科書の間に挟み積んであったそれは心なしか皺がよっている・・・これをそのまま書いて出したら減点されるだろうか・・・。
僕は不安を考えながらも机の上のインク瓶と使い古した羽ペンを手に取った。

「あれ、ハリーなにを持っているんだい?」
羊皮紙と羽ペンとインク瓶の他に、ハリーの手に持たれた真っ白い封筒・・・ハリーは首をかしげてその封筒の封を切り始めた。
「差出人が書いてないんだ」
ビリビリと封の破られた封筒から、白い一枚のカードが落ちる。
それはロナルドの足元に滑って、白いカードはひらりとその内容をロナルドの目に入れてくれた。
「"ディア ハリー・ポッター"……フロム…」
ワォ、とロナルドから感嘆の声が漏れて、それから彼は小さくかがんだ。
「ハリーすごいや、これ…!!!あ」
白いカードを手に、頭を上げたロナルド…彼の口からつむぎ出される言葉の続きは、彼とともに消えてしまった。

「ロ、ロン!?」

後に残ったハリーは、呆然と幻覚でも見たのかとメガネをこすり、何度も瞬きをした。

















 ドラコマルフォイは何かに吹き飛ばされてきたように硬い石の床にたたきつけられた。頭がくらくらする。
「な・・・・何だ!」あたりを見渡すと重厚そうな木のテーブルと椅子が何脚か、そしてそれに座っている足が6本。
一組は(たぶん)女の子で、あとの二組は男のだ。
「こんばんは、ドラコマルフォイ」「こんばんはドラコ坊ちゃま」「だらしない格好だなマルフォイ」
3つの異なる声が頭の上から降りかかる。ドラコは頭を上げた。
「なんなんだ、いったい。誰だ!」声のするほうへ身体を向け立ち上がると大きな縦長いテーブルの端に女の子。暗くて顔がよく見えない。
その子を囲むように両側に向かい合って見覚えのある、むかつくやつらがいた。「ウィーズリー」ドラコは低くうなるような声で言った。
「どうしてお前達がここにいる。お前達が僕をここへ飛ばしたのか?今すぐもどせ!もとの場所に!」
「マルフォイ、そんなに騒ぐと子犬みたいだぞ」「とても情けないお姿でございますな、ドラコ坊ちゃま」
「うるさい!」
「いいからドラコ、落ち着いて。座れば?」奥の一人が口を開いた。・・・どこかで聞き覚えのある声だ。
「・・・・お前は」ドラコは思わず無礼にも彼女を指差す。「ずいぶんありがちなリアクションだなマルフォイ」
「ご婦人に失礼でありますぞ、坊ちゃま」そのやりとりを見て彼女は楽しそうにくすくすと笑ったが彼は彼らのふざけた態度によりいっそう表情をとがらせた。
「あなたたちも、すこし言いすぎね」
彼女がそう笑いながら言うと、彼らも笑った。しかし彼は笑わずに、よりいっそう表情を険しくする。「いったい、なんなんだ!」
、どういうつもりだ!」ドラコは声を荒げた。彼が怒鳴るのもあたりまえだ。
ベットの下に入り込んでしまった手紙を苦労して手にした瞬間、わけのわからない部屋へとばされ(飛ばされ!)
いまいましい、上級生のあの双子・・・・ジョージウィーズリー、フレッドウィーズリーにけなされた。怒らないほうがふしぎだ。
たとえそこにがいたとしても。
「パーティーよ」にっこりとは答える。「パーティー?」

「ぎゃあ!」
ガツン、大きな音が響いた。
さきほど床にたたきつけられたドラコマルフォイよりそれはもっとひどい。
奥からはフレッドとジョージの「おやおや」「これはこれは」というちっとも心配どころかおもしろがっているような声と、くすくす笑いしか聞こえない。

「ようこそ―――ハリーポ・・・・・・・・・って、貴方ウィーズリーズの弟じゃない。ポッターはどうしたのよ」
「あいたたた・・・は?え?ここ、どこ?」
キョロキョロとまわりを見渡すロナルドウィーズリーは落ち着きがない。
そもそも話しかけたの言葉すら聞こえてない様子で何度も周りを見渡す・・・は口にこそ出しはしないものの、それが気に食わなかった。

「はん、ウィーズリー、お前はまともな着地もできないのか!!」
「な、なんだと!!」
挙句ドラコマルフォイと受け継がれてきた往年の犬猿の仲ぶりをあますことなく発揮してくれる・・・オールバックの金髪の彼は先ほどの自分をどこぞの高い棚の上に置き忘れてしまったような始末で。

「ちょっと、ふたりとも―――無粋な諍いはよして頂けるかしら?それよりロナルドウィーズリー・・・私、どうして貴方がここに来たのかを知りたいのだけれど?」
静かな…凛とした・・・だけどどこか深い海の下に沈むマグマのような激しさを隠し持ったの言葉に、ロナルドはやっと振り向いて「ええと・・・」と説明し始めた。



(予定外もいいとこだわ)
「そう・・・でも、まぁせっかくだからお座りになって」
にっこりと、極上の笑みではいまだ立ち尽くす彼らにイスを勧める。
空席のテーブルには魔法のかけてあるカップが出現し、まるでたった今注がれたような勢いで湯気を出している。
湯気越しにぽかんと口をあけたロナルドはそれからすぐに頬を染めて慌てて促されるままにフレッドのとなりに腰かけた。
ついではじかれるようにドラコマルフォイも彼が座った席のむかいに座った。
できることならばロナルドウィ−ズリ−の近くになんて寄りたくなかったのだが。
なにもない空間から出現したティーカップは、たっぷりとあたたかそうな紅茶を蓄えてロナルドの向かいの席に落ち着いたのだからしかたがない。


「あー・・・コホン、これはいったい―――なんの集まりなのか説明して頂きたいのですが、ミス
暗闇の向こうで咳払いをし、眉を顰めながら歩いてきたのはグリフィンドールの監督生、パーシーウィーズリー。
こんな時間に、とか一体どういう仕掛けで、とかなにが目的、などとぶつふつ文句を言いながら彼はテーブルをはさんだの前に立った。

「お茶会にご招待したんですよ」
さぁ、どうぞ。は開いている席を示し、パーシーに座るよう促した。
けれどもパーシーは座ろうとせず、そのままへ言葉を続けた。

「こんな非常識な時間にお茶会とは・・・先生方が知ったら嘆かれますよ。なんたって貴方は―――敵寮とはいえ、高名で美しく成績優秀なミス・・・」
たしなめるようにパーシーが言うと、はほこらしげにおかしそうにくすくすと笑った。
パーシーはそんなを見てどぎまぎしながら「な、なにがおかしいんだい」と問いかけた。
「いいえ、失礼、だいじょうぶよ」
あちらをごらんになってと、は手で空席のひとつに目をやるよう促した。だれもいない――――ん?

の手がご覧になってと促した空席に、突如あわられたのは今年新任されてきたばかりのリーマスルーピン教授。

「・・・うーん、ずいぶんと強引なお誘いだね、・・・できればふたりっきりがよかったかな」
まるで冗談のような、本気のような、どちらともつかない笑顔で彼はに笑いかけた。
ついでに、「ノイハウスの新作をおあずけするほどの価値はあるんだろうね」と恨みごとも付け加えられて。
それでもこんな時間にお茶会を開いてることについてのお咎めはないらしい。
教師らしからぬ教師の言動に、パーシーはあんぐりと口をひらいた。
彼の弟たちはそれを見て「あのパーシーが!!」「あんな顔を!!」などといいながらくすくすと笑っている。
マルフォイは多くのグリフィンドール生の中にまぎれたスリザリンというか、どこか所在なさげに席に座ってを見つめている。

「ノイハウスのチョコレートはありませんけど、ヴィタメールのチョコレートでしたらこちらにもご用意してますので大目に見てください」
「これはこれは、得したな。ありがとう、」とルーピンはおおきくほほえんだ。
ふふふ、とは艶やかに笑った。
パーシーはとろんとその笑顔に見惚れて、文句を言おうとした口もそのままにふらふらとリーマスの向かいに腰を下ろした。
はそれを満足そうに小さく笑う。

はテーブルの回りを見渡した・・・埋まった7つの席・・・もちろん自分を含めての・・・そのなかで自分の向かいのひとつだけぽつんと空いた席を見て、は小さく笑う。
目当てだった、一番の株が来ていない―――しくじったのだろうか、あのクリーチャーは。







「失礼、」

突然、本来ならば赤かオレンジの火が猛っているはずの暖炉から大きな緑の炎が上がる。
(しかし、今日は暖炉はつかわれてなかった筈だ。それにはと彼女の従順ですばらしい知恵と技術をもった有能で最低な従者、屋敷しもべ妖精ドビーとのまき割りをめぐる攻防があるのだが、本筋とはあまり関係ないので、この話しはまたの機会にとっておくことにしよう・・・)
は脳に刻みこめられたドビーと暖炉にまつわる思い出に、笑顔を作り上げている表情筋の数ミリ下に苦々しい表情を隠しながら暖炉を観察した。
とにかく、暖炉から銀色がかった緑色の炎が燃え上がった。
そしてその炎のなかから低い静かな声が響く。
「だれか、親切な者がいるならば、この場所でなにが行われているのか私に教えてはいただけないだろうかね」
埃を払う音が聞こえる。

ウィーズリーの双子の片方がたからかに答えた。
「ここは、ホグワーツの陰の支配者、」は静かに声の主の赤毛を睨んだ。
嘘、ウソだよ。とフレッドは言い直す。「うるわしき御方のお茶会の会場でございますよ」は満足げにちいさくうなずく。
「だから、招待されてない奴はさっさとかえるんだな」
もう片方、ジョージが付け加えた。その言葉尻をさらにもう片方がひきつぐ。
「そう、ですからその暖炉から・・・・・・」お帰りになったほうがよろしいですよ。と言いかけて、フレッドは口を閉じた。
炎がよりいっそう強く音をたてて燃え上がり、低い声の主が暖炉をくぐりぬけて炎のなかから身をあらわしたのだ。

「それは失礼したな。しかし、私も招待状はもってる・・・・まあ、カードの内容を確認していないから私宛とはかぎらないがね。」
そう言って、封の開いていない真っ白な封筒を示す。テーブルの一番奥に座っている(おそらく、この集まりの主催者である)彼女にたいして。

封の開けていない封筒。は頭を働かせている。封筒の中に入っているカードに手を触れた瞬間、この場所に飛んでくるように
魔法をかけたのだ。どうして、この男は暖炉から出てくることができたのだろう。暗くて顔がよく見えない。
コツコツと靴の底と石の床がぶつかる音が静かな部屋に響く。

「君の顔には見覚えがあるな・・・・・」

靴音を立てている人物はテーブルに近づく。金色の髪が彼の背中でゆれている。ドラコマルフォイはなにかに気づいたようで
「あっ、」と小さな声を漏らすが、全員に無視をされた。まあ、全員その人物に目が釘付けになっているのではしかたがない。

「そうね、このまえの保護者会談でのスリザリンの生徒代表は私でしたのよ」
は答えた。
「ああ、君か、君のことはよくおぼえている。私の息子にも君のようになってほしいと思った」
「それに、セブルスの実験室でも会った事があるな」と付け加えた。そして「アレがスリザリンにおける模範生だと私は思ったのだよ」とも言った。

「ところで、この招待状は私宛で間違いはないのかね?」

は笑顔で答えた。

「ようこそ、ルシウスマルフォイさん」
「おまねきいただき感謝する。

マルフォイ氏はしずかにイスを引き空席を埋めた。
と長いテーブルを挟んだ向かい、特等席だ。




「それではみなさん・・・楽しいお茶会をしましょうか」
パチンとが指を鳴らす。
すると薄暗かった部屋が明るくなる・・・灯されたランプがと蝋燭がゆらゆらと空を飛び始めたのだ。
そしてテーブルの上にはまるで―――そう、ハロウィーンのときのように次々とお菓子が現れ始めた。
スコーン、クッキー、チョコレート、ビスケット、キャンディー、カボチャジュース、バーティーボッツの百味ビーンズ、パンプキンパイ、糖蜜ケーキ、糖蜜パイ、ヌガー・・・他にもいろいろ数多くのお菓子が上品に盛り合わせられて目の前に現れた。
紅茶の目の前には何種類ものジャムが揃えられている・・・はローズジャムをストレートティーにひとすくい落としてゆっくりとかき混ぜながらにこりと笑った。

しかし、この深夜の親密で神秘なお茶会はなごやかな雰囲気にはなれないらしい。
ある尊大な態度がにじみ出ている人物のおかげで。
マルフォイ氏と敵対しているらしい赤毛一家のウィーズリーの双子は、あきらかに敵対心を剥き出しにしてドラコをからかってばかりいるし、その兄のパーシーはどうしていいかわからずにおろおろしている。そして一番下の弟は彼に圧倒されてちぢこまるばかりだ。
ドラコマルフォイも双子に嫌味を言われるたびにマルフォイ氏を盗み見てはどこか居心地悪そうにしている。
そしてルシウスマルフォイ氏は「ひさしいな」とか「ナルシッサはお前に会いたいといっていた」とか軽く彼に言葉をかけただけで、それらをまるで何も見えてないように無視し、私の淹れたすばらしくおいしい紅茶を静かに楽しんでいる。
まったく、パーティーコーディネーターの私としては、人選を間違ったのかもしれない。いや、間違ったのは私のせいではない。
すべてはあのすばらしく最悪なドビーのせいだ。彼が騒いでいたせいで冷静な判断ができなかったのだ、とは責任転換をした。


「どうやって、ここまできたんです?封筒、開けないで」
ルーピンはチョコレートを満足そうにのみこんで、マルフォイ氏に気軽にといかける。
甘い菓子には目もくれず紅茶だけを静かに飲んでいたマルフォイ氏は短く「フルパウダー」と答えた。
いや、それはわかりますけどねぇ、とルーピンはさらにチョコレートをつまみ口へ入れながら言った。
「私は悪意のある魔法を無効化する呪文をつねに発動させているのでね、封筒を見た瞬間に魔法がかったものだとは見当がついた」
悪意なんて、まったくありませんよ。とが口を挟む。「それでは・・・未知の作用の含まれている魔法と言い換えよう」とマルフォイ氏は答えた。
はにこりと笑って話しの先を求めた。
「そして中身の魔法を分析して場所を確定し、フルパウダーを使用した、これでおわかりかね?」
経験のある魔法使いなら誰にでも出来ることだ。と付け加え、それを聞いたルーピンは肩をすくめる。そしてまたチョコレートに手を伸ばした。

「これはどういう趣旨の集まりなんだ?」
テーブルを指先でトントンと叩きながらマルフォイ氏は言った。
「君はパーティーと言うが、楽しんでいるのはどうやら君と私と甘味中毒らしいこの男ぐらいなものではないかね?」
「そうですね・・・」
はフレッドのポケットから引っ張り出した菓子をドラコの皿に投げ入れようとするジョージを軽く睨んで止める。
ジョージは肩をすくめてその菓子を床にほうり落し、ちょうどドラコの足もとに届くように蹴る。に見えないように。
たぶん、ドラコはそれを自分が落したものだと思い込み、テーブルの上へ拾い上げるだろう。
しかしくさるほどの金持ちである彼は一度落したものはきっと食べない。はそう思いそのまま無視した。
もしドラコが卑しく落ちた菓子を食べそうになったら、となりに座っているパーシーはきっと注意する。
自分のうちで双子の弟の菓子に何度も騙されているだろうから。
でも、ななめ向かいのルーピン先生はきっと何も言わないんだろうな。
「マルフォイさんは、何が問題だと思います?」
「そうだな・・・私としては・・・私は私が楽しければそれでいいから、別にこのままで良い」
金持ちらしき尊大さで言った。「強いて言えば・・・・君と二人だけのほうが良かったかもしれん」
「あ、と二人がいいっていうのは私がもうさっき言っちゃいましたよ」とルーピンが口を挟むが、ルシウスマルフォイ氏はそれを無視して、
スネイプの実験室のことは君も覚えているだろう?と低い声で言い放ちにやりと笑う。

・・・知識も容姿も富もなにもをすべて完璧に取り揃え、素晴らしいほどに完成されているマルフォイ氏は、
男の理想が服を着て歩いているようなものだ。
しかし彼は―――どうやら性格はほんの少しひん曲がっていて―――冷酷らしい。
がぴくりと彼の言葉に反応し、微笑を向けた意味合いに満足し、彼も小さく笑った。
彼は紳士に違いない、でも人が困っているところを見て楽しむなんて紳士とはいえないんじゃない?
の向かって左側、並んだ真ん中に座る彼の息子の方が、ある意味より紳士らしい・・・と思う。
少なくともドラコマルフォイは、スリザリン寮の女子に対しては・・・まぁまだ未熟ゆえに、一部の女子に対してうんざりさを隠せないでいるが―――今、の反応を見て楽しむ彼のような行動は起こさないだろう。

彼はサディズムとエゴイズムのかたまりだ。
ルシウスマルフォイを自らのものにするには、それ相応のリスクを負う羽目になるのかしらね。
「ええ―――その節はお世話になりました―――・・・本当に」
は忘れてなどいない。あの日、を。
それでも素晴らしく美しい微笑みを讃えた表情と、彼に差し出されているこの自分の演技力に震えがおきてしまうほどだわ。
そう思っては紅茶に口をつけた。すばらしくおいしいはずの紅茶の味など、流れるように消えてしまったけれど。

「そういえば、パーシー。貴方はもう進路はお決めになられて?」
ころりと視線を左端に向ける。
ウィーズリーツインズの行動に顔を顰め、所在なげに紅茶をかき回す手。
グリフィンドール監督生であり、首席でもある彼は突然話を振られたことに驚くように身体を弾かせ、慌ててこちらを見た。
「ええ、まぁ、就職活動はこれからですが―――魔法省にと、決めてますよ」
にっこりと、誇らしげにパーシーは笑う。彼には揺るぎない自信があるのだろう、まったくその通り。
いがみあうグリフィンドールスリザリンといえども、将来有望な彼には、正直それなりとも評価をしている
それが"彼"という異性であればの話だけれど。
「素晴らしいわ、きちんとご自分の進路を明確に示してるのね」
「いえいえ、そんな。男しては当たり前のことですからね。それにしても僕の弟達はいつまでもしっかりとしてくれなく―――おい、いい加減にしろよ、フレッドジョージ!お招き頂いた席でのマナーをわきまえろ!!
ああ、失礼。ミスほどの女性を目の前にして、緊張しているのですから―――・・・」
素晴らしいパーシーの素晴らしい言葉は、突如遮られる。ツインズだ。
彼らはとパーシーの会話に入り込み、邪魔者を弾き飛ばし、二人して両側からの手を取って恭しくその手の甲にくちづけた。
冗談とも本気ともつかないが、彼らはこういうことを平気で紳士ぶってできる者たちだ。
は彼らのそういうところは嫌いではない。むしろ、その正直さに好感をもてるほどで、だけどときおりまるで滑らしたように出る真意をついた言葉には苛々する。

「お茶会は楽しんでいるようね?」
「ええ、ええ。もちろんです!」「あたりまえじゃないか!!」ツインズは大きく頭を上下に振り、にっこりと笑い、の手を自らの頬に寄せた。
「つれない君が、珍しく今日は僕らを招待してくれた―――余計なオプションもたくさんいるけれど」
フレッドは下からを見つめ、にやりと含み笑う・・・まるで誘うように。
「いつになったら君は僕らに愛のおかえしをくれるんだ?―――今日こそはその記念すべきはじまりの日だろ?」
ジョージも同じようにを見つめ、含み笑う。
は極上の笑みで笑う・・・とても満足そうに。
「さぁ・・・どうかしらね?」
この、女王と騎士ともいえる相関に、はぞくぞくする。
とても理想的で好きだと思う、けれど彼らは騎士でもなく、ましてや王でもないとんだ伏兵・・・いわば、トランプで言うところのジョーカーに値する存在。
本当に、騎士だったら、彼らの望むとおりになったかもしれない。けど残念ね。
は小さく嘆息して(もちろん誰にもわからないように)、その両手をツインズから引き上げさせた。
彼らは名残惜しそうにの手を見送って、それから再びテーブルに向かう者たちに嗜好を変える。
ドラコマルフォイに変わり、ついさきほどまでと会話を楽しんでいたパーシーに標的を変えたらしい。
それでも、間に挟まれたドラコマルフォイは居心地が悪そうだ(当たり前だ、私だって嫌だ、あんな場所は)。

「あ、あの・・・!」
そのとき頃合を見計らったかのようにロナルドは声をあげる―――遠慮がちに、おどおどと、まるで素晴らしく高貴で美しく艶やかな女王の前に立たされた平凡な国民のように。
「なにかしら、ロナルドウィーズリー君?」
軽やかに緊張を落ち着けるようにと、はにかんだ笑みを向けても、ロナルドはますますどぎまぎさせてをみる。
「あのぅ・・・僕、もう帰ってもいいかな?魔法薬学のレポートが、まだ終わってないんだ・・・」
ピシッと、音を立てての笑顔が凍りついた・・・のはロナルドの気のせいだろう。は変わらずにっこりと笑っている。
「そう・・・レポートが終わっていらっしゃらないの・・・」
とても―――そう、残念そうな顔では言う・・・・・・内心は、荒れ渡る海のような気持ちで彼をみつめていたけれど。
「じゃあ、」
「君は招かれた席でのマナーも知らないのかい?」
の言葉を遮って、ドラコマルフォイが声をあげた。いつもグリフィンドールの彼らを蔑むときよりもっと冷たい目をして。
は黙ってそれを見つめておくことにする―――建前上言わずにおくべきと思ったことを、彼は代弁してくれるだろうと思ったからだ。
「本来招かれるべき客人―――非常に不本意だが、ポッターを差し置き、間違いでもってやってきたお前を、せっかくだからと席を促した彼女の寛大さに感謝こそするものを、ましてや早く帰りたいなど・・・失礼にもほどがある。
だいたい魔法薬学のレポートの宿題が出されたのは先週の筈だ。ロナルドウィーズリー、お前の怠慢さを理由に退席を願うなど、紳士としてはあるまじき行為ではないのか?」
珍しく、あのドラコマルフォイが正論を言い、そして正当な理由でもってロナルドを見下している。

お茶会の席はしん、と静まる。誰も何もいえない。
厳しい顔でロナルドを見つめるドラコ。
気まずそうに下を俯くロナルド。
ジョージフレッド、パーシーは、さすがに弟をフォローできないでいるし、マルフォイ氏は我関せずとゆったりと紅茶を嗜んでいる。
リーマス教授はにこにことこの場に不釣合いな笑顔を浮かべて彼らを見ていた。

「・・・・ドラコ、そのくらいでやめておきなさい」
しんと静まり返った席に、しっかりとした声が通る。
「父上」
「マナー知らずの彼はどうこうにしても、せっかくのお茶会だ。我々を招待して下さったお嬢さんが困ってしまうのはしのびないだろう」
「それはまぁ・・・・そうですね」
ロナルドはさらに縮こまってしまう。
それに助け舟を出すようにリーマスは口を開いた。
「まぁこういう趣向のパーティもいいけれど、学生の本分は一応勉強ということであるらね。ロナルド君、君は帰りなさい」
そしてもしもハリーがレポートを終えていたのなら、こちらに呼んであげればいいと、付け加えて。

「そうね、ごめんなさいね引き止めたりして。ごきげんようロナルド君」

おやすみなさい、そう言ってはにっこりと笑って彼を見送った。
今度こそは本心からにじみでた笑みである。実は、はロナルドウィーズリーにはさっさと帰ってほしかった。
まったく、ハリーポッターを呼んだはずが、なぜ彼が来てしまうのか。これは相当に大きな疑問である。


「ところで、ロナルド君のレポートで思い出してしまったのだけれどね」
いつもにこにことした笑顔をふりまくルーピンは、今は少しだけ眉を寄せて困ったような残念そうなそんな笑いをに送った。
はなんとなく彼も退席するのだろうと思った。けれど先ほどのロナルドの一件あって免疫はついた、大丈夫・・・もとより、あれ以上無礼な退席の仕方はないだろう。
「明日返すはずのレポートの採点をしていなくてね」
レポート?は眉をひそめる。そんなもの、返却が少しおくれてもいいじゃないですか。と表情で語っている。
「・・・君のクラスのなんだが」
リーマスは優雅にテーブルの上に手を重ね、ゆったりとした口調で言葉をつむいだ。
だけれど彼の目の前のテーブルは優雅ではない。彼がさんざん食べ尽くしたチョコレートの包み紙が山となっていた。
(いやいや、まとめてあっただけよしとしようじゃないのよ)
「ああ、」そんな課題もありましたね、とはにこやかに笑う。そうと聞けば話は早いのだ。
存分に添削なさって、そして存分に自分の素晴らしさを評価して欲しい・・・あの闇の魔術に対する防衛術のレポートは、改心の出来だった。素晴らしくよく出来ていた。まちがいなく。
「うん、ペンがすべっておかしな動きをしないうちに帰らせていただくとするよ」
ルーピンはにっこりと笑う。「本当に残念だ」
「そうですね」とは、そんなことはまったく気にもとめてなくってよ、アナタのことなんて気にしないもの、という顔を作って答える。
・・・・よくよく考えてみると、恐ろしく要領のいいリーマスに限ってレポートの採点がまだ終わっていないなどということは有り得ないだろう。
きっと彼は自動筆記でも何でも使って時間がなかろうが羽根ペンがなかろうがレポートがなかろうが(ああ、レポートがなかったら書けないか)要領よく終わらしてしまうだろう。たぶん、チョコのために。
たぶん、この場から離れたいが溜めのウソなのだろう。(そう、きっとノイハウスが気になったのね、だってヴィタメールはもうないもの)
もちろん、私とお茶をともにするのにあきたから、部屋に帰りたいなんて思っているわけはない。
「そのかわりに、今度は私が君をお茶に招待してもよろしいかな」
そのときはゴディバのチョコを添えて待っていようと、リーマスは微笑む。
社交辞令のそれは、おそらくルーピンにとってはそうでないだろう。とは確信していた。
それくらいの自信は持ち合わせている。きっと、今から行ってもいいか、と聞いてもいいと言いそうだ。
「ええ、ではそのうち」もルーピンと同じように微笑んだ。
「がんばってくださいね、先生」
「ああ、ありがとう」
ルーピンはまっすぐにドアへは向かわず、の背後に立つと彼女の方に手を乗せ、耳に顔を寄せる。
そしてだけに聞こえるようになにやらささやいたようだ。
双子は必死に聞き耳を立てていたが、その言葉を聞き取る事はできなかった。
はその言葉を聞くと一瞬笑い、ルーピン腕に触れて彼をさらにかがませる。
「なんなら、このまま僕の部屋に来てもいいんだよ?」との誘いに、「私はパーティーの主催者としての責任がありましてよ」とは答えた。
すこし肩をすくめて、しかし変わらぬ笑顔のまま、リーマスはドアの向こうへ消えてった。
は常日頃から彼をとても強かな男だと思っていたが、今日はそれが一段と強く大きくの心に刻まれた。


それにしても私は、やはりパーティーにまねく人間の厳選をあやまったようだ。
それぞれの将来の有望そうで、仲良くなっておくとあとあと自分の立場が有利になりそうな、そして自慢できそうな人物のところで自動的に届くような魔法を白い封筒にかけ、簡単なボートキー化の魔法を白いカードにかけた。
それはとてもうまくいった。・・・・うまく行き過ぎた。
こう人数が多くては本音をだせやしない。こっそりその人だけに解るようにメッセージを送れないのでは私の魅力が無駄になってしまう。
むしろルシウスマルフォイ氏を残して全員帰ってもらってもいいくらいだ。もともとの標的は彼なのだ。
まさか、本当に来るとわ思わなかったけど。
そう考えをめぐらせてちらりとマルフォイ氏を盗み見る。彼はいまだに優雅にお茶を楽しんでいた。
紅茶を飲んでるように見せかけて、2杯以上飲み干さないことが最高の紳士である。本当に完璧だ、体のサイズも黄金率で構成されていそう。

「さて、私はそろそろ失礼する」
マルフォイ氏は(こんどこそ)紅茶を飲み干すと。席を立った。
「もうしわけないが、このあとに人と会う約束があるのでね」
そう言って暖炉へ光る緑色の粉をまいた。「今日のように急な呼び出しでなければまた次の機会に、ゆっくりとお会いしよう。ミス
「こんな時間に人と会うなんて、それが本物の社交人のすることは違いますね」とは毒づく。さっき自分の息子が言った事をお忘れになったの?
マルフォイ氏はくつくつとのどの奥で笑い「このような時間の茶会もじゅうぶん奇妙だと思うが?」と答えた。
「まあ、そうでしたね」ともほほえむ。
君も一緒に来るかね?と冗談めかした口調でマルフォイ氏はを誘う。「本物の特権階級の場を見たいか?」
一瞬は真面目になやんでしまうが、あしたは小テスト前の重要な授業だという事を思い出し「私、デビュタントはまだですから」と断る。
デビュタントの会場でまたお会いしたしましょう、マルフォイさんもいらっしゃいますよね?とほほえむ。
すばらしく完璧にほほえみかえし、そのときにはお相手願うことにするよ、では失礼する。とそう言ってマルフォイ氏は緑色の炎の中に消えた。

主賓も帰ってしまったし、そろそろ終わりにしようかと考えていたときに、バタンとドアの開く音を聞いた。
「こんな夜更けに皆さん・・・・随分と楽しそうですな」
突然、低く響く声にみんなが注目する。・・・・ドラコマルフォイ以外。さすがに最高に完璧なミスター理想の息子とあって、彼の鼓膜と脳もそれなりに冷静らしい。
誰かなんて、見なくてもわかるのだ、きっと気配で。
でも、私だって彼の声は子音の一音だけでも判別できる。ただ、一秒での長くながめていたいからすぐに目を向けたのだ。
「おや、君は監督生ではなかったか?パーシーウィーズリー。こんな所でお会いするとは・・・・まことに残念だ」
コツコツと足音が響く。だれも声を出せずにいる。
「フレッドウィーズリー、ジョージウィーズリー今夜は何の相談ですかな?」
ドラコマルフォイ君は部屋に戻ってかまわない、と言われたドラコだが、
スリザリン寮生としてはこんなおもしろい場面からいなくなることなどできないというふうに、そのままの席でにやにやわらっていた。
グリフィンドールには最悪の、スリザリンには最高のできごとだ。
スネイプはすこし考えるような振りをして、しばらく閉じいていた口を開いた。
「グリフィンドール寮から」ここで言葉を切り、思い切りねちっこい笑みを浮かべた。「50点減点」
50点!双子が同時に叫ぶ。ドラコは自分のことは棚に上げて実に楽しそうだ。
スネイプもとても楽しそうだ「勘違いするな、一人50点づつだ」
私だって最高に楽しい、だけどそれは顔に出さず、心配そうな表情をつくる。
「うわー150点もか・・・」とフレッド。「最悪!」とジョージ。
「君達は簡単な掛け算すらできないのかね?200点だ」フンとスネイプは勝ち誇ったように鼻で笑う。
「先ほど暗い廊下でビクビク震えながら歩いていくロナルドウィーズリー君とお会いしてな」
かわいそうに、彼はこの地下で迷子になっていたのだよ、とニヤリと笑った。
「ロンの奴!」とか「あのバカ!」とか双子が騒いでいる。パーシーは自分から減点されようとは思いもよらなかったらしく、ぶつぶつと「減点」とか「ああ、この僕が?」やら「僕が減点」などとつぶやいている。
「ドラコ、君は部屋へ帰るんだ」とスネイプから(彼に対してはわりと)厳しい口調で促がされ、しぶしぶ部屋をあとにする。


しっかりとドラコの足音が遠ざかっていった事を確認すると、スネイプは部屋中をみまわし、すべての生徒の気分が沈みきっている事を確認すると満足そうに部屋を出ていった。

にっこりと笑い、意気消沈している彼らを残してはスネイプの後を追いドアへ向かう。
「おやすみなさい、いい夢を」
かるく手をひらひらとふり(ふりかえす余裕のある人間は誰もいなかったが)後ろ手でぱたんとドアを閉める。
あたりを見回し、5、6歩先を歩いているスネイプを発見して足をはやめた。
はスネイプ先生にレポートでも提出しようかとふくみ笑った。
人望も未来も財力も関係無い、結局はその人物が魅力的かどうか。そしてもっとも大切なことは自分がその人の事が好きかということだ。
ということは、やっぱり先生が最高である。
浮気はよくない。と彼女は心のなかのメモ帳に書き加えて、脳の記憶倉庫にアップロードして感情を更新した。







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・参考・

わかりにくいかもと思いまして。

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1、
2、フレッド
3、ジョージ
4、ロン
5、ドラコ
6、リーマスルーピン
7、パーシー
8、マルフォイ氏

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とてもとてもお待たせいたしました。一年?うん、それくらい。
リクエストは蒼伊さんから、逆ハーとのことで。
どうでしょうか、望むようなものができましたでしょうか。
そうだとうれしいのですが・・・・。


とにかく、ありがとうございました。
2年目の今年もがんばろうと思います。


(アラナミさんには大分てつだってもらいました。ありがとう、ありがとう)


トラ

2004/6/10