「マジモンマスターなんて危ないことやめよっと」
はきっぱりとあきらめてきびすを返しました。
あきらめがいいことも、ときには大切だとだれかが言っていたようなきがします。
だけど後ろで泣いているロングボトムも少しかわいそうですよ。
「あんたもこれに懲りたらトレーナーなんてやめて普通に暮らしなよ」
あら、もやっぱりかわいそうだと思ったんですね。
返したきびすをもう一度返してロングボトムの首をつかんで持ち上げました。
まるで猫をつかんでいるみたいですねぇ。
「とりあえずマジモン省にはつれてったげる」
そこからは自分でなんとかしなさいよと念をおして、はロングボトムを肩に乗せてあげました。
も意外と優しいんですね。
「ありがとう……」
くすんと鼻をならし、ロングボトムはにお礼を言いました。
あらあら、もちょっと照れてますよ。
「黙りなさいよ」
可愛いですね。
「ちょっと君」
が歩き出してしばらくして、どこからともなく声がきこえました。
誰でしょう。
は森の中ではあまり立ち止まりたくなかったので無視して歩くことにします。
「ちょっと君、肩にロングボトムを乗せている君」
ああもう誰なんでしょうね。
この肩のマジモンをロングボトムだと知っている人間なんて、ロングボトムがマジモンになったのを見てない人にはわからないのに。
「誰よ、あんた」
振り向いたそこにはメガネをかけて少し寝癖のついた髪の額に傷のある背の小さな少年がいました。
「僕はグリフィンドールのハリー、君の肩に乗っているロングボトム・ネビルの友人だ」
ふむ、背が小さい割にはしっかりしていて、しかもなにか強い力を持っているように感じます。
落ちこぼれロングボトムの友人なんでしょうか、本当に。
「ハリー!」
おっと、ロングボトムがハリーに飛びついてゆきます。
どうやら友達というのは本当のようですね。
「僕スネイオウにマジモンにされちゃったんだ!」
「うん、そうみたいだね」
ハリーはあいずちを打ってそれからに視線をよこします。
ずいぶん熱っぽいと思うのは気のせいでしょうか…?
「ありがとう、君、優しいんだね」
「え、あ…え?」
ハリーの手はの手を包むようにつかんで離そうとしません。
おやおや、熱っぽい視線はどうやら気のせいではないようですね。
俗にいうひとめぼれというやつでしょうか、、どうするんです?
「とりあえずこんなところではいつまたスネイオウが襲ってくるともわからない。僕の家においでよ」
「は、はぁ…」
はハリーの言葉にそのまま頷いてしまいました。
だめですよ、ちゃんと自分で考えることをしないと。
あとで後悔してもしりませんよ。
はハリーに手をひかれ、グリフィンドール都市のお屋敷へと招かれました。
そこではすごくよくもてなされ、その末に一泊することになりましたが、やっぱりちゃんと自分で考えてから返事をした方がよかったんじゃないですか?
既成事実を作らされてしまったは、あれよあれよという間にハリーと婚約し、生涯安定した一生を過ごすことになりました。
…本当によかったんですか?
「うーん、未来のマジモンマスターさまの妻だと思えば別に…」
は楽天的でよかったですね。
終わりよければすべてよしということでしょうか。
めでたしめでたし…?