シャランラ、星空にタンバリン投げつけて 1





心配の種だったテストも終わって赤点も免れて、
きらびやかで可愛いドレスローブ身にまとう日も近づき、
ダンスはハリーにでも誘ってもらおうかな、なんて考えてた。

気分は軽快、ステップはスキップ、あたしは笑顔。

取らぬ狸のなんとやらもいいところだわ、うーん、なんていうの?
まとはずれ?計算違い?うん、それよ、それだわきっと!



神様、お願い!
今年のクリスマスプレゼントはなにもいらないからハリーとのダンス権を!


なんちゃってよろしく夜空の星に願いをかけてみた。
嘘です、嘘。
あたしは臆病者だから本命なんて口に出しても言えないし、心の中だってはばかられるわ。
本命にアピールできず、二番目に行ってしまうタイプなのです。
ああ、損。
いやいや、嫌いではないし、好きよハリーのことは。
てゆうかそもそも言い出せなかったのりするのですが、グリフィンドールのティーンエイジャーとしてはですね。
とかなんとか言ったりすると、察しのいい人は気付くんじゃあないかなぁ。
これハーマイオニーには絶対言えない。
てゆうか彼女にはあたしはハリーが好きだと認識していると思うので今さら過ぎて言えない!言う気もないけど!


うーん…ぶっちゃけ、ぶっちゃけってゆうかごめんなさい神様、あたしは懺悔します。
あたしはグリフィンジャーの友人先輩後輩もろもろ、およびホグワーツの皆様(一部)に嘘をつきました。
私は一番大好きで好きで好きでしょうがなくてドキドキして見るだけで顔が火照ってしまうのはハリーではありません。
ハリーは友達以上恋人未満な感じですがあくまであたしの友達です。
むしろホグワーツの生徒以上知り合い未満な位置にいるマルフォイ君が好きなんです。
ごめんなさい、どうしましょう。


というかあたしがこうもいきなり懺悔などと言ったのは、バッチリ第一印象から決めてました!(でも性格は閉口する)みたいな感じでひとめぼれてたくせに、うっかり言いにくすぎて初めてのコイバナ(1年時)のときにハリーポッターって固有名詞を出したことに酷く後悔しているからなんです。
てゆうかね、本当に自分勝手で申し訳ないんだけどあれよ、あたしは好きな人の情報もままならない上に好きな人を好きだと思わせるようなそぶり(例えばその人の写真をこっそり見るとか!)を部屋の中でできないことにそろそろ限界を感じ始めてきたのです。

あたしはマルフォイ君が好きなんだよーぅ!

言ったら間違いなくハーマイオニーに絞め殺されそうだわ、ううう。
恋に歯止めはきかないの、ごめんね。



と、いうわけであたしは事の次第を懺悔すべく、校長室の扉の前で手を組んで跪いた。
異文化交流なんのその、ホグワーツには教会はないの。
だからこの学校での神(!)に懺悔しようかと思ったのです、アーメン。
でも校長室に入るためのキーワードをあたしは知らないから扉の前なのよ。

「神様仏様ダンブルドア校長様、あたしは今までみんなに嘘をついてました。あたしが一番好きでできればお付き合い願いたいと思っている男の子はハリーではありません。マルフォイ君です。どうか許してください。そしてあわよくばマルフォイ君とのダンス権をあたしに!」

ひ、光は見えるかしら?
憐れな生徒にお恵みを…!!
とりあえずあたしは校長室の前で数十分と唸って手を合わせていたら、校長先生に書類を持ってきたらしいマクゴナガル先生と鉢合わせてしまい、奇しくも追い出されてしまった。
クッ、潮時というのか。
貢物のレモンキャンディーにストロベリーも加えるからお願いしますよ、校長!





しかしあの懺悔はきいたのかしらね。
不安だー。
次々と決まっていく友人達のダンスの相手に、あたしは正直焦っていた。
てゆうかなんで誰もあたしに申し込まないの!?
取り残されていく感が…!

なんとなーく流れ的にロンはハーマイオニーって感じがしたし、ハリーはきっとチョウさんなんだろうなぁ…。
あたしは去年あたりからハリーに対しては報われない感がしていたのでもういい。
てゆうかそもそもあたしが懺悔などに到った根本的な原因はこれにあると思われる。




いいなー……




などとのたまっていたら日々はとぶように過ぎ、あっという間に当日はやってきたのです。
ダンブルドア様お願い!マルファイ君とのダンス権をあたしに!
というささやかな願いはどこふく風か。
てゆうか多いに外れた予想に思わず歯を噛み締めた。


 ま さ か !









拝啓 ダンブルドア校長大先生様
めそめそと壁の花となるあたしをかわいそうだと思うなら、ご威光をば頂きたく存じますが。
ムリですか、ムリなんでしょうか、つき始めて4年に突入した嘘の罪は懺悔ごときでは救われませんか、そうですか…。
 ひ ど い !
うわぁん!あたしのレモンキャンディー返せー!














 
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楽しそうな小説が書きたかっただけなんですけどねぇ…。
ん?続きますよ。



2004/9/9 アラナミ