不二家家合同クリスマスパーティー。
不参加は認めず。


そんなけったいな招待状が届いたのは、クリスマス前日だった。






  マリーなクリスマスにしませんか?






むちゃくちゃだよなぁと呟きつつも、結局家族の誰にも逆らうことのできない貧乏くじな不二家末弟は、彼女に甲斐性なしと怒られつつもデートの日和を一日ずらしてもらって実家へと帰ってきていた。
まぁなんていうか、兄及び家族のはちゃめちゃさを語ることができる同志がいることが、彼の心をいくぶんかは軽くしていたのかもしれない。



完全にできあがってしまったっぽいふたりを見るまでは。



、これ食べてみる?」
「うん、周助こっちは?」
「ちょうだい」



なんだこの新婚っぽい空気は。
あてられる。
あてられてしまう。
てゆうかあてられてる。
いつもはすでになにかの行動に出ているだろう姉貴ですらあの空気にあてられて固まってしまっている。



いや、基本的には去年の兄貴のバースデーパーティの時と変わんねぇんだけどさ。



「あとでサボテン見せてあげるよ」
「いいよ」
「花がついたんだ」
「ふぅん」



そっけなさの中に言い知れない柔らかさというか温かみというかそんなものが漂っている。と思う。



「(ちょっと裕太!!あのふたりなんか変よ!!!!)」
実の弟とその彼女つかまえて変って………姉貴……。
「(あー…本当にできあがっちまったんじゃねぇの?)」
「!!!!!!」



そんなのひどい……!!!と唇を噛み締める姉貴。
それこそひどいんじゃあないかと思うけど、それは心の中にそっとしまっておく。




確かめようと思ってさんに話しかけたら、去年とまったく同じ愚痴が返ってきて少し安心した。
と思ったらそこはかとなく愚痴ではなくのろけのように聞こえたので、俺は溢れる涙をのみこんだ。

クリスマスなのにどうして俺は、報われないのか。
(いや、さんがそれで幸せならいいと思うけどな、俺は!!!!)





サボテンを見に行ったふたりが帰ってきたとき、さんの指に光る指輪があったことを書いておこう。











このシリーズお決まりの展開も、これからはなかなかに見れそうにないので過去にタイムスリップしてみる。