一体なに考えてんの?






    オセロゲーム






すごく嬉しいんだって言いたいくせに、なんでもない、全然嬉しくないんだって顔をして、甘んじたように僕の手のひらに撫ぜられ続けたは、ついにこんなことを言い始めた。
うん、なかなか学習しないと思っていただけど、侮れないなぁ。
出会い始めの頃は、君はただもう僕から逃げる事しか考えてなかったからね。
僕の言葉のままに真芯を捉えていたっていうのかな?その言葉の裏に隠していたものはわからなかったね。


が、僕のこと好きになるようにって思ってるよ」


いつもいつもね。
にっこりと、ただ笑いかけるためだけに向けられた笑顔は優しく、そして企む笑顔は一変してその反対側のものになると思うんだ。
僕はかわるがわる臨機応変に、そう、それはまるでオセロゲームのように裏と表をひっくり返してゲームを進めていく。
ゲームって言っても、遊びじゃなくって、本気の試合なんだけどね。

はわかったんだかわかってないんだか、ただもう口を少しだけ尖らせて考え込むように俯いた。
まぁなんていうのかな、僕の言葉をちゃんと聞いて考えるようになっていってるっていうことは大きな進歩だよね。
ああもう本当に可愛いなぁ、…でもなんていうのかな、口を尖らせてるところってなんだかキスを強請ってるみたいに見えるのは僕だけじゃないよね?
優しく触れるだけなら、いいよね?


「!」


急に触れたくちびるに驚いたのか、は目を大きく見開いた。
うん、君にとっては急だったかもしれないけど、僕にとってはごく自然の当たり前のような動作だったんだけどね。
ああ、目をつむってくれなきゃフレンチキスに持ち込めないよ。
しょうがないなぁ。


「好きになった?」
「!!」


ちょっ、ちょっと待ってよ。
待って、なにその、君の反応。
いもつ顔に出て、わかりやすいの、その中でも一番分かりにくかったものが、ありありとわかってしまっうような反応。
ねぇ君なんで、そんなに頬を火照らせてるの?
いつもいつも冷静に、の心を僕に向かわせるためにしてきたすべての行動だけれど、これが今どうして冷静にしていられるっていうんだろうね。


「な、なんであんたが赤くなるのよ!」
「……だって顔赤いよ……」
「(墓穴!)」


これはちょっと…ヤバイかもね…。
火照った僕の頬、ますます赤くなるの頬。
不意打ちだよ、ダメだ、顔が合わせられない。
完全に操作してると思っていたオセロも、何気ないの一手で全部覆されてしまった。





「ホント、侮れない」
「…なんか言った?」
「別になにも?」







うーん、とりあえず、ここは据え膳食わぬは男の恥だよね