そして私は頭を悩ませる。
思ったのはそのときだけだったのよ、本当に。
嘘偽りなく本当に、神に誓って。
「バレンタイン、勇気を出してくれたのために、僕も同じものを返そうかと思うんだ」
はぁ、チョコをまんま返してくれるんですか。
なんて思って、春休みの気だるい登校日ゆえに不二の口を塞ぐことなくそのまんまにしていて、そしてそれがが犯す失態の中でも指折り数えるくらいの大失態だということに気づいたのはほんの数秒後だった。
痛々しい実体験を伴ってな。
「僕を、受け取ってくれるかい?」
それはうっとりと恍惚とした目でとろけるように微笑んで私を見る不二が、その右手を自らの胸元を指し、そしてその左手で私の右手を包みながら言った言葉。
まったく身に覚えのないセクハラ的発言に、私は固まった。
私の前に座っていたも固まる。
そのの隣にいた菊丸も固まる。
てゆうかやっと慣れてきたらしい(遅いって)新米教師もクラスメイトも固まる。
つまり不二を除くすべての教室内にいた人間が固まったと。
「アホかーーーーーー!!!!!!!!!」
とっさに発した言葉がなにも否定する言葉が含まれていないことに気づく余裕もないほどに。
てゆうか毎日のように顔あわせてるくせにこんな登校日を狙ったかのようにそういう話題を出しますかね。
根も葉もない。
深く私の眉間に刻まれた皺…手塚もびっくりするくらいのな。
瞬く間にたちどころに校内を駆け巡った間違った噂が捻じ曲がって私の耳に届いたとき、私は頭を抱えてイマサラ外部受験しようか真剣に迷った。
に不二周助の子供ができた。
「ふざけんなーーーーーー!!!!!!!!!」
きっとこういうのが既成事実を作られたって言うんだ。
そして放課後それとなくわざとらしく出会った手塚と大石君に心配されたので必死に身の潔白を語ったが信じてもらえず。
もいっちょ。
「ふざけんなーーーーーー!!!!!!!!!」
(半泣き)
お返しはお姉さん作のラズベリーパイだったので突っ返せませんでした。