「頼む、!!!!」
差し迫った大会を前に、私は手塚に詰め寄られていた。
半ば、脅されるような形で。
テニクエ1 ローラ姫と勇者と
「にゃーんか不二ってばこの頃調子悪いみたいでさ」
原因知らない?と廊下ですれ違いざま、菊丸に話しかけられた。
知るもんか。
てゆうかナニソレ、嘘でしょう。
…はは〜ん……私をかつごうって魂胆でしょ、有り得ないから!!!!!
まくしたてた私に、菊丸は本当に本当に不思議そうな顔をして目を真ん丸くしてもう一度私に言った。
「本当に知らないの?」
なんのことだ。
「やぁ、元気そうだね」
まるで狙ったように出てきた乾に、私は怪訝な目で見るけれど、めんどうなので深くは突っ込まないことにしておいた。
「ところで不二がこのごろ妙なんだか……知らないかい?」
またかよ。
知らないっつの。
だいたい不二はいつも通りだっつの!!!
鈍く光る乾のメガネの奥は計り知れない。むしろ未知、あれこそ未知の世界だ。
「の前だと普通なのか?……ありがとう、。いい情報だったよ」
なにがなんやら。
「こんにちは、さん。不二は元気かな?」
なにやらどこか胡散臭げに平常さを装って出てきた大石君に、乾に向けた以上の怪訝な目をするが、やっぱり面倒だったので(以下略)。
元気だよ。
元気も元気、相変わらず変わらない日課をすごすように絡んできてくれるからね。
それがどうかした?
「うーん…不二は君に元気をわけてもらってるのかな?」
は、はぁ?
そして、今、私は。
切羽詰ったような表情の手塚国光に詰め寄られている。
「(コワ!!!)」
「頼む、後生だ!!!」
「なにがだ!!どんなに頼まれたって私はあなたと付き合う気はございません。好みじゃないんです。正反対なんです!!」
「そういう意味ではない!!!」
じゃあなんだよ。
「好きだと言え」
「ぎゃー!!私は手塚が壊れた!!てゆうかおかしい!!!てゆうかやっぱりそういう意味なんじゃん!!!!!!」
「えぇい!!人の話は最後まで聞かんか!!」
それはそれは切羽つまったような、耐え難いような、端整であろう顔をいかんともとがたく歪めて詰め寄る手塚の顔は大層なもんだ。
「不二に好きだと言ってやってくれ!!!!」
「はぁ?」
大きく口をあけてぽかんと間抜けな声を出して聞き返した私に、手塚はこほんとひとつ咳をして、それからゆっくり言葉を紡いだ。
「…男女間の問題に他人が介入するなど不本意なんだが、今はそうも言ってられなくてな」
「表では平常を装っているがこの頃の不二はおかしい、メンタル面がよくなくてな」
どこか塞ぎこんでいたり空笑いだったり。
話を聞いていなかったり小さなミスが多かったり。
あまり目に余るものだから聞いてみたらな。
「お前に好きだと言われたら絶好調になると」
不二が言ったんかい。
「乾が言ったんだ」
「乾かよ!!!!」
ははぁ、ははぁ、それで大会前の期待の星を絶好調に仕上げたいがために私を!
私をダシにして元に戻そうと!!!
「なんで私が……」
「俺が不二に好きだと言ったら気持ち悪いだろう」
……キモッ。
てゆうか胸を張って言うな!胸を張って!!!
…手塚って本当、天然だよね……。
「だからな、ここはひとつ………」
諭すように私を見つめて、子供にする見たく人差し指を一本立てて、それから手塚が次の言葉を紡ごうとした瞬間だった。
「やらせてあげればいいんじゃないですか?」
なにを!!!!
大和祐大が現われた!!!!!
手塚たちは先制攻撃を受けた!
かいしんのいちげき!
手塚は200ポイントのダメージを受けた!
つうこんのいちげき!!
は300ポイントのダメージを受けた!!
「ああ…でも、大会前は手加減してくださいね」
手塚たちはぜんめつした!!!
てゆうかこの人いつの間に現われたのよ!!
ほっぺにキスでも頑張れるよね?みんな見てたから頑張れるよね!?