もしかしてショウアク






 口には言わない、絶対口には出さない。
 だってさ、それを言ったらきっと―――拗ねてしまうことは目に見えてわかっている。だってさ、そうやって君を拗ねさせてしまうことは不本意だからさ。

 役にた―――いや、使い道が―――…同じか。…いくつかに分岐されたスキルのうちの、1番下にあるそれは、本人ですら気付かない潜在したものだと思えばわからなくもないけれど、それを育てていくのは美徳を育てていくようなものだと思うんだけど、ね?

 どうしても上げたいっていう君と、ダメだって言うオレはもっぱらそのことに関してはサイアクとしかいいようがなくって、レベルアップするたびケンアクで、男前を上げたい君は剣の腕をどんどん上げて、さ。

(それだけでも充分かっこいいのに、それ以上かっこよくなんてなったら困る)

(…君はわかっているのかな。自分の魅力がどれほどあるってハアクしているのかな。今のままで充分だって思うオレにさ、それ以上かっこよくなってなにを言おうと言うんだ。知ってる、少しだけわかってる。そのキレイな顔に最高の男前を乗っけて言いたい言葉があるんだろう。いつも言ってる癖に。いつもいつでもどんなときでも呼吸をするみたく自然に言う癖に、それでも確かな反応を見せないオレに、いいたい言葉があるんだろう、この馬鹿)


 モンスターをなぎ払ってその直後、聞こえた今のオレにはキョウアクとも思える音。またレツアクな言い争いを?青い目が細められてこちらに歩み寄られる―――さて、どうしようか。




(好き、だなんて言われたら、もう。今でさえ破裂しそうな心臓だ。オレを殺す気なのか)







九月八日計画自作お題"レベルアップ"

2005/9/8  ナミコ