「でもその前にみんなの体力回復させなくっちゃね!」
うふふ、と笑ってはマジモンセンターへと歩き出します。
そうですね、決戦前の体力回復は欠かせませんからね。
とても賢明な判断だと思いますよ、さすがですね、!
「これくらいあたりまえでしょ」
それもそうですけど…それをしない無謀な人たちもたまにいるんですよ、。
スリザリンの地下道に入る手前にあったスリザリン都市のマジモンセンターへは向かいます。
リドエルは生き生きとしていますが…なにやらフレジョは少し警戒しているようです。
ロングボトムに到っては少し震えてるようですよ。
「ちょっとあんたたち地下道に入る前から怯えてんじゃないわよ」
ピシャリ、とがたしなめますが、ロングボトムの震えは止まりません。
フレジョは空気が合わない…とロウテンションのようですが……。
「まぁグリフィンドール都市周辺で分布しているマジモンはしょうがないよ。その土地にはその土地の属性とかあるからね」
リドエルが楽しそうに笑いました。
いつの間にかいつもフレジョが陣取ってるの隣を今は独占していますよ。
水を得た魚ということなんでしょうか…フレジョが悔しそうに睨みつけています。
「そんなことよりマジモンセンターよ」
は大きくあたりを見回しました。
昼間だというのにスリザリン都市は暗く、街道にはランプですら灯っています。
人気も少なく、またよそ者に好意的でないという噂どおり道行く人はこちらを訝しげに睨んでは通り過ぎて行ってしまいます。
「暗くて見にくいわねぇ、これで世界有数の名家が集う都市だって言うんだから怪しいわ」
はさんざん文句を言いながら暗い道を辿り、冷たい人の波をかきわけ、やっとの思いでマジモンセンターに辿り着く事が出来ました。
……なんだかスリザリン地下道へ行く前より疲れているみたいですね。
あのまま進んだほうがよかったんじゃないんですか?
「うるさいわねぇ」
あらあら、それはじゅうぶん分かっているみたいですね。
どうせなら地下道は反対側から入ったほうが楽だったかもしれませんよ、向こうの出口の近くにある都市はレイブンクローなのですから。
「ちょっと、マジモンの回復お願いするわ」
カウンターに立ってはそこに立つ女の子にお願いしました。
するとどうでしょう。
「貴方、どこのお家の人なの?」
「はぁ?」
女の子の言葉にはあからさまに首を傾げます。
それを見た女の子は女の子でムッツリと顔を顰めてもう一度ゆっくりとした口調で「貴方はお生まれはどこの生家か聞いているの」と、気取ったように言った。
「どこもなにも私は、マジモントレーナーのちゃんよ!」
…生まれはどこかと聞いているのに…。
あてずっぽうというか、話を聞いていないのは昔からでしたね、別に構いませんけれどね。
「それじゃわからないわ。帰って頂戴」
「きゃあ!」
女の子はをぐいぐい押してマジモンセンターから追い出そうとしました。
あいたたた、乱暴ですねぇ。
お里が知れますよ、ってそんなことを言ったらがもっと酷い目にあいそうですね、黙っておきましょう。
はとうとうマジモンセンターの入り口まで押されてきてしまいました。
「ちょっと、ちょっと乱暴ねぇ!がさつ!それでも女の子なの!?パグ犬のような顔しちゃって!!」
「貴方こそ失礼ね!私はパンジーっていう可愛い名前があるんですからね!それにスリザリンのマジモンセンターはスリザリンに住む人やスリザリンに相応しい人か名家の人じゃないと利用できないの!おわかり!?」
ぐいぐいと入り口のそこで押した押さない引っ張った叩いたのと大騒ぎ。
のマジモンたちはあきれたようにふたりを見てため息をつきました。
マジモンたちに呆れられてどうするんですか、。
「自分で可愛いとか言ってんじゃないわよ!あんたが可愛いなら私の美しさはアフロディーテも跪かせてしまうわよ!」
「あんたこそバカ言ってんじゃないわよ!顔ばかりよくたって身体がずん胴じゃあゼウスに男神と思われるんじゃなくって!」
ああ…いよいよ大変な事になってきたようです。
ど、どうしましょう。
フレジョましてやリドエルが止めるはずなんてないし、ロングボトムは傍観するだけでなにもできないのですからどうしようもありません。
だいたい建物の入り口でこんな事をしていたら他の人に迷惑ですよ。
、パンジー、いい加減にしないと大変な事になりますよ!
「静かにしないか!」
大騒ぎになっていたマジモンセンターの入り口で、たしなめるというよりは怒る、というような勢いでどかん!と透き通るやや高めの少年の声は爆発しました。
は訝しげに眉を細めますが、パンジーは青くなって縮こまっています。
あらあら、さっきまで威勢がよかったのに、よっぽどこの声の主に怒られたり嫌われたりするのが怖いのでしょうか。
「他の者たちがセンターを使えなくて困るだろう、私情は挟まず速やかに仕事をしろ」
つかみあっていたとパンジーの目の前で見下ろすように立っていたのは、金髪の髪とアイスブルーの瞳を持つまるで王子様のような男の子でした。
パンジーは青ざめた顔でその王子様にごめんなさいと言うと、そういうことだから早く帰って、とを促しました。
「ちょ、ちょっとちょっとちょっとぉー!!」
あきらかに先ほどの力とは遥かに強い力と意思でを外へ追い出そうとします。
これにもはたまらず踏ん張っていた足も思い通りには進まずに後ろへ後ろへと追い返されてしまいました。
そんな、回復もせずに地下道へ向かえというのでしょうか…あまりに無謀すぎます。
「あたしはなんとしてでもこいつらを回復してもらわなきゃ困るのよ!」
は根性で踏みとどまってみますが、なんでしょうか、パンジーの必死の力にはあと一歩届きません。
こっちも必死だというのに…非常なものです。
このまま追い返されたら本当に地下道へは回復せずに乗り込まなくてはいけないかもしれませんよ?
最後の頼みの綱のアイテムだって、スリザリン都市は物価が高いことでも有名です。
いくらでもここで買い物はできませんよ。
「はなせー!!」
思わず叫んで掴んだのは金髪の王子様のマジモンの片割れだった。
こうなりゃ自棄よ!見よう見まね、地球投げ!